ロボテック・トレンド:倉庫・物流の自動化ニーズに注目
ロボテック・トレンド
倉庫・物流の自動化ニーズに注目
新興国、そして近年では先進国においてもロボット倉庫システムでは、細かく区分けされた倉庫の上をロボットが動き回り、24時間365日の稼働が可能です。 労働力不足やそれに伴う賃金上昇が、自動化需要を促進する要因となっています。特に倉庫や物流の分野では人手不足が顕著で賃金も大きく上昇しているため、倉庫自動化テクノロジーを提供する企業にとっては、成長の好機が到来しています。
アクサIMのロボテック戦略ポートフォリオマネージャー、トム・ライリーは、「コロナ感染拡大が消費者と企業の行動を大きく変容させた結果、いくつかの重要な最終市場でロボットおよび自動化への需要が著しく高まっています。そうした領域の一つが倉庫の自動化です」と述べています。パンデミックによりオンラインショッピングが急増し、eコマースに対する迅速かつ信頼性の高い配送ニーズが高まっていますが、これはテクノロジーによる強力なサポートによってのみ達成可能です。また、以前はeコマースを活用しなかった企業も、こうした需要に応えるため、自動倉庫への投資を強化する必要があります。「この状況は今後、自動化関連業界に長期にわたる力強い成長をもたらすと考えられます」とライリーは指摘しています。
それでは、倉庫自動化テクノロジーとは具体的にどのようなものがあるでしょう。当戦略の運用開始以来注目してきたのが、自動倉庫の「ビジョンシステム」や「マテリアル・ハンドリング」の技術です。
「ビジョンシステム」とは、カメラにより検査や監視を行うシステムのことで、生産工程の自動化において極めて重要です。例えば、米国のコグネックスは、画像処理に優れ、欠陥検査、位置決め、計測、文字認識などに強みがあり、同社のビジョンシステムは自動車、半導体、エレクトロニクス産業などの製造現場や、消費財・食品飲料産業の物流現場で使われています。日本のキーエンスは、画像処理装置とロボットを融合させた「ロボットビジョンシステム」を構築し、様々な製造現場や物流現場における産業用ロボットの活用に貢献しています。同社は顧客密着のコンサルティングセールスが強みであり、製造や物流の現場の細かいニーズに対応しています。
「マテリアル・ハンドリング」とは、生産拠点や物流拠点におけるモノの荷上げや運搬等の物流業務です。例えば、日本企業のダイフクは戦前の創業以来、マテリアル・ハンドリングに従事してきており、世界的にもこの分野におけるリーディング企業です。巨大な棚から何万ものケースを出し入れする立体自動倉庫や高速仕分けシステムに強みを持っています。ドイツのKIONグループは、豊田自動織機に次ぐ規模の世界主要フォークリフトメーカーとして知られていますが、倉庫自動化装置や工場内の物流システムにも強い、マテリアル・ハンドリング機器の製造会社です。また、ノルウェーのオートストアは、グリッド型の自動倉庫システムの上でロボットが縦横無尽に動き、24時間365日、注文に応じてモノを取り出すことを可能とする保管ピッキングシステムを製造しています。日本でも導入事例があり、インテリア小売大手ニトリのグループ企業が、eコマース拡大への対応でオートストアの自動倉庫を活用しています。
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