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よく考えて決断:貯蓄から投資へ

主なポイント
投資にはリスクが伴いますが、歴史は、長期的には投資が貯蓄よりも相対的に優れたリターンをもたらす可能性があることを示しています
投資は長期的な取り組みであるべきと考えています。投資を早く始めれば始めるほど、獲得できるリターンも大きくなる可能性があります
しかし、長期的な投資においては分散投資が重要です。リスクを分散し、一つのかごにすべての卵を入れないようにしましょう

しかし、長期的な投資においては分散投資が重要です。リスクを分散し、一つのかごにすべての卵を入れないようにしましょう

金利が長期間続いていた低水準にはとどまっていない現在、貯蓄から比較的高い利益が得られるために、多くの個人がなぜ自分のお金を株式市場にリスクを取って投資する必要があるのか考えるかもしれません。

しかし投資をする主な理由はただお金を貯めるのではなく、長期的にはより高いリターンが得られる可能性があることです。過去5年間を見てみましょう。この期間に、世界的な新型コロナのパンデミックやロシア・ウクライナの戦争、インフレ上昇およびその後の金利の急上昇といった厳しい経済状況がありました。

しかし、このような状況にもかかわらず、米国の大手企業の株式を対象としたS&P 500指数はこの期間に86%以上上昇しました。これはどの現金預金よりも高いリターンです。1

もちろん、過去のパフォーマンスは将来のリターンの目安とすべきではありません。市場は上昇するだけでなく、急速に下落することもあります。しかし、歴史は、長期的に見て投資は現金預金よりも相対的に高いリターンをもたらす可能性があることを示しています。

20年間を振り返ってみましょう。20年前に100ドルをS&P500に投資した場合、インフレを調整すれば、今年6月末には381ドル(281%の増加)になり、また、同じく100ドルを先進国23カ国1,429社の企業の株式の値動きを示すMSCIワールド指数に投資した場合は293ドルになります。もし貯蓄で現金(キャッシュ)のままにしておいた場合には、100ドルは88ドルの価値になります。2

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株式市場 対 現金 — 過去20年の実質リターン推移

出所:FactSet、2024年6月。米ドルのキャッシュリターンはICE Libor米ドル3ヶ月物金利

現金をある程度保有することは引き続き重要であると考えています。突然の支出に備えて手元に現金を残しておくことは理にかなっています。しかし、現金のリターンはインフレのペースに追いつくことができないため、購買力(お金の実質価値)は時間と共に低下することになります。


初めて投資を行う投資家は何を考えるべきか?

投資においては、長期的な考え方が重要と見ています。投資期間は少なくとも5年間、できればそれ以上の期間を見据える必要があると思います。投資を続けることができる期間が長ければ長いほど、リターンを得られる可能性が高まると見ています。

市場が不確かな状態にあるときに投資するのは怖いかもしれませんが、早く始めれば、投資資産を成長させる時間が長くなると考えられます。一般的に、突然の市場下落の際に資金の大半を投資することは避けるべきと考えます。定期的に手頃な額を投資することで、いわゆるドルコスト平均法(定期的に定額を投資する方法)を活用できます。これにより、市場の波乱を乗り越えるのに役立つ可能性があります。なぜなら、価格が低いときにはより多くの資産を購入できる一方で、価格が高いときには資産をより少なく購入することになるからです。

分散投資も長期的な投資にとって極めて重要と考えています。一つの銘柄に投資する誘惑にかられる場合があるかもしれませんが、これは非常にリスクが高い投資となる可能性があると見ています。リスクを分散し、一つのかごにすべての卵を入れないようにしましょう。

初心者投資家にとって、考慮すべき主要な資産クラスとして2つあると考えます。それは、株式と債券ですが、以下それぞれを簡単に説明します。

  • 株式:株式(時には「株」とも呼ばれる)を購入すると、株式の保有者は企業の一部を購入することになります。企業の事業がうまくいけば、保有株式は価値を上げるでしょう。一方で逆になる場合もあります。企業が成功しない場合、事業では利益が出ないため、その株価は下がり、無価値になる可能性さえあります。一部の企業は投資家と利益を分け合い、「配当金」として支払います*。これは株式を保有する上で最も重要な利点の1つであり、長期的には、配当金の支払いは投資家のリターンに影響を与える可能性があり、特に配当金を再投資する場合には、さらにリターンにプラスの影響を与えることになると思われます。

    *:配当金が支払われない場合もあります。

  • 債券:政府や企業が資金を調達したいときに債券を発行します。債券にはさまざまな形態やリスクレベルがありますが、基本的には「借用証書」であり、債券が発行された際に設定された固定期間と定期的な利払い(これらの支払いはクーポンと呼ばれることがあります)があります。期間が終了すると、発行者は元本を債券保有者に返済します。債券は通常、株式よりも価格変動が小さいと見なされますが、それでもリスクを伴います。例えば、発行者が財政的な困難に直面し、支払いができないことがあります。または、廃業してしまい、投資家が元本を回収できない可能性もあります。さらに、債券価格は金利の影響を受けます。借入コストとしての金利が下がると、下がる前に設定されたクーポンは相対的に好条件となる為に、債券価格は上昇します。逆に、金利が上昇すると価格が下がります。

理想的には、新しく投資を始める投資家は、リスク許容度や時間軸に応じて、債券や株式、可能であれば、その他の資産や現金など、多様に分散されたポートフォリオを考慮すべきであると考えます。分散投資を確実にする最も簡単な方法の一つは、投資信託を通じて投資することです。投資信託では各投資家の資金が他の投資家の資金と一緒に集められ、幅広い企業の株式や債券等に投資されます。


投資信託への投資

投資信託を通じて投資することは、投資家にとってさまざまな企業や資産に比較的簡単に投資する方法です。投資信託を通じて投資すると、投資家の資金が他の投資家の資金と共同で運用されます。投資信託はプロのポートフォリオ・マネージャーによって運用され、投資戦略が立案され、投資信託の投資目的(たとえば、インカムまたは成長)と市場の見通しに基づいて株式やその他の資産に投資されます。

投資信託を利用することで、異なる企業の株式、債券、その他の資産を比較的容易に組み合わせることができます。このように投資を分散することによって、一つの投資が不調であっても、投資全体の価値に与える影響を軽減することができます。

マルチアセットおよびマルチマネージャー戦略による投資信託は通常、リスクを分散させるために、より幅広い資産クラスや他の投資信託に投資します。これらのポートフォリオは他の投資信託だけでなく、個別の株式、債券、また不動産などの代替資産、および金などの商品にも投資することができます。

最終的に、投資を決定する際に考慮すべき主要な要素は、リスク許容度と投資期間です。特に後者については、長期的な視点を持つことが良いと思います。投資の成功を保証するものはありませんが、現金の貯蓄を保持するだけでは、長期的な成長は期待できない可能性があると見ています。

上記記載は、特定の有価証券の投資の勧誘や助言、推奨をするものではありません

過去の実績は将来の成果を保証するものではありません。

(オリジナル記事は9月6日に掲載されました。こちらをご覧ください。)

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