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テクノロジー

スマートシティ:テクノロジー主導の未来と投資機会

主なポイント
都市は、インフラと生活の質を向上させるために新しいテクノロジーを活用しつつあります。
スマートシティは、より持続可能な選択肢を提供することもできます。
コネクティビティ(接続性)や輸送、エネルギー効率などに係るソリューション(解決策)を創出または利用する企業に投資する戦略によって収益機会を得る可能性があると見ています。

2050年までに米国の人口の90%近くが都市圏に住むようになるとの予想があります。1   スマートシティとそれを支えるテクノロジーは、最適化された未来の都市を生み出すとともに今日の投資家には収益をもたらす可能性があります。

スマートシティは、市民の健康や安全、資源効率、インフラの質を高めるため、センサーやデータ分析、5G、モノのインターネット(IoT、あらゆるモノがインターネットにつながる技術)用デバイス(機器)といったテクノロジーを取り入れています。アブダビのマスダールシティや韓国のソンド(松島)のように、ゼロから建設されるプロジェクトもありますが、より一般的には、利用できるようになった特定のスマートテクノロジーを既存の都市の状況に合わせて組み入れています。

世界のスマートシティ関連市場は成長しつつあり、優れた投資機会となる可能性を秘めています。2019年の市場規模は3,929億ドルですが、2   2030年までには3兆7,000億ドルにまで成長すると予測されています。3   全体の45%の収益を占める北米がこの成長を牽引するとみられています。4

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スマートテクノロジーの進歩がもたらす投資機会

テクノロジーの進化がスマートシティ革命を推進しています。ということは、投資家はコネクティビティや輸送、エネルギー効率に不可欠なテクノロジーを開発、製造、展開する産業に投資することで大きな収益を得る可能性があります。投資機会は以下のような分野に存在すると考えられます。

  • センサー: センサーは、スマートシティ・インフラの目と耳として機能し、情報に基づいた意思決定を促進するためのデータを監視、収集します。例えば、大気の質や騒音レベルをどう感じるかに関する調査を行う代わりに、高性能のセンサーを使用し、汚染物質に関するデータを収集して大気の質に係る正確な指標を決定したり、騒音のデシベル(dB)値を測定したりすることができます。IoT対応のスマート駐車センサーを提供するテクノロジーもあります。また、湿度から環境光まであらゆるものを測定する様々なセンサーが提供されています。センサーには半導体チップが必要ですが、多くの場合、米国の半導体メーカーが提供しています。
  • 5G(第5世代移動通信システム): 5G接続は、デバイスとセンサーの間のシームレスな通信を保証し、リアルタイムのデータ交換を可能にします。これにより、セキュリティやエネルギー利用、照明、駐車場、公共交通機関の監視と改善がより迅速かつ容易に行えるようになります。米国のテクノロジー企業が5G接続ソリューションの多くを提供しています。2020年の市場規模は81億ドルですが、2023年から2028年までの年平均成長率は62%と予想されており、5  また2020年に米国のSecure 5G and Beyond Act(「5Gおよびそれ以降の技術の確保法」)が成立しており、6  世界の5Gインフラ市場は成長の入口に立っています。
  • 人工知能(AI)ソフトウェアとデータ処理: AIを搭載したソフトウェアを使用することにより、スマートシティやその市民、デバイスからの膨大なデータを処理、活用することが可能になります。大気汚染レベルから交通渋滞まで、あらゆるデータを手作業で整理し抽出するという何日もかかり、ヒューマンエラーが起こりやすい作業の代わりに、スマートシティはAIソフトウェアとデータ処理ツールに作業の大部分を任せることができます。これらを通じて、街中の多数のセンサーからデータを集めるだけでなく、わかりやすい視覚的な表示も可能になります。その為の、様々なデータを組み合わせて高度に分析し、データを視覚化することができるシステムも提供されています。
  • IoTとクラウド及びエッジコンピューティング: IoT技術の世界市場規模は2030年までに3兆4,000億ドルを超すと予想され、7  一方、クラウド(ネットワーク上でサービスとして提供されているコンピューターの利用形態)及びエッジ(ネットワークの端末)コンピューティングも成長が見込まれます。8  どちらの技術も、データ処理とシステム連携を支える重要な柱であり、スマートシティのデータ保存・通信を可能にします。例えば、交通信号機や洪水、水質、交通渋滞を監視する機能など様々なIoTソリューションのテクノロジーが提供されています。一方、コネクテッド・デバイスの創出を支援するIoTプロセッサーも提供されています。
  • サイバーセキュリティ: サイバーセキュリティは、混乱や場合によっては身体的な危害を引き起こす可能性があるデータの盗難、知的財産の損失、システムやネットワークの障害を確実に防ぐためにスマートシティにとって不可欠です。トップレベルのサイバーセキュリティ・ソリューションは、スマートシティの未来にとって非常に重要です。たとえば、高度なセキュリティ・サービスや次世代ファイアウォールは、IoTデバイスとそのデータを悪意のある攻撃者から保護するのに役立ちます。
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現実世界のスマートシティ

現在、米国の都市ではインフラの老朽化が大きな問題となっています。時代遅れの交通機関、エネルギー、水道システムは現代の需要に対応できないことが多く、渋滞や価格高騰、混乱を引き起こしています。最近では、ニューヨークのタイムズ・スクエア地下の127年前に設置された水道本管が壊れました。今後20年間で、米国の地方政府はエネルギーの伝送と回収を最適化するスマートグリッドから高度な交通管理、駐車システムまで、ソリューションに約41兆ドルを投資する予定です。9

交通はこれまでのところ、スマートシティ開発の重点テーマであり、投資機会を提供しています。電気自動車(EV)は個人の移動や公共交通に大きな変化をもたらしており、多くの企業が参入しています。米国自動車メーカーには、2026年までにEVに500億ドル以上を投資する予定のメーカーがあり、10  また、EVの開発に数十億ドルを投資している自動車メーカーもあります。11  一方、自動運転車(AV) は排気ガスや交通渋滞を緩和することができますが、サンフランシスコではすでに二社が自動運転車サービスを提供しています。一社は250台の車を許可されており、もう一社は毎日100台、夜間は300台を走らせています。12

道路や料金所、交通管理システムのセンサーを統合して交通の流れを最適化し、ボトルネックを軽減することがますます一般的になっています。ライドシェア・サービス(一般のドライバーが自家用車を用いて有償で乗客を運ぶサービス)は消費者の間で非常に人気があるだけでなく、乗り降り自由のバスサービス、相乗りサービス、自転車・スクーターのシェアリングシステムなど、他のモビリティ・アズ・ア・サービス(MaaS)の選択肢も広がりつつあります。コネクテッド道路用のテクノロジーや、ニューヨークの公共交通機関向けに運用ソフトウェアを提供する企業もあります。

市民はグリーン・ソリューションを求めており、2050年までにカーボンニュートラルな国になることに米国人の69%が賛成しています。13  スマートシティは、より持続可能な都市になることもできると思われます。スマートグリッド(ITを利用して供給側と需要側の双方から電力の流れを最適化するための送電網)は、エネルギーの流れを監視し需給の変動に迅速に対応するのを支援します。一方で、分散型のグリッド(送電網)や電池は同様のメリットをもたらすエネルギー貯蔵を可能にします。テクノロジーを用いた監視は廃棄物管理を改善することができ、また米国南西部での水の使用など、成長と居住性を妨げる資源制約に対処するのに役立つことができています。

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スマートシティの前進を阻むものは何か

その利点にもかかわらず、スマートシティ技術の前途は複雑です。スマートシティの取り組みには多額の投資を要する場合があり、プロジェクトは資金調達の問題に直面することがあります。ベルリン・ジーメンスシュタットのように、自治体は資金不足を埋めるために官民パートナーシップに頼ることがよくあります。

他には、規制や世論がイノベーションを妨げる場合もあります。ライドシェア・サービスの導入は反対に直面し、オレゴン州ポートランドなどで禁止や訴訟に発展することがありました。空港も当初はライドシェア・サービスに抵抗し、ロサンゼルス空港は2019年でもまだ渋滞緩和のためにカーブサイド・ピックアップ(空港施設のすぐ外での乗車)を禁止していました。

とはいうものの、米国の都市は試行錯誤を繰り返しながら進歩しています。今日では、スマートシティの実装がどのようなものであるかの実証例が増えており、十分な資金があれば、今後、より多くの自治体がこれらの画期的な技術の恩恵を受けるものとみられます。

よりスマートでコネクテッドな未来の都市が提供する投資機会

米国ではスマートシティ革命が進行中であり、投資家にとってはより革新的で接続性の高い持続可能な都市を支援する良い機会です。IoTデバイスやセンサー、5G、スマートグリッド、再生可能エネルギー、EV、AVなどの技術の進歩は、スマートシティを現実のものにしつつあります。こうした分野が新しい様々な投資機会を提供する可能性は十分にあると見ています。

 

企業への参照は例証のみを目的としており、個別銘柄への投資を推奨するものではありません。

(オリジナル記事は3月19日に掲載されました。こちらをご覧ください。)

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