生物多様性の損失との闘いの中で、新たな基準と枠組みが投資家の武器となる
昆明—モントリオール生物多様性枠組(GBF)として知られている、生物多様性の損失をくい止め逆転させるという誓いは、自然界の保全面での政府の政策だけでなく、企業や投資家の行動を規定し加速する上で支援となります。GBF は、生物多様性の危機に対処する上で大きな進歩がなされたものの、さらに多くのことを実現する必要がまだあると伝えています。
2030年までに世界の陸地、水、海洋の30%を保全することなどを目標とした画期的な協定が、2022年の国連生物多様性会議COP15で188カ国によって署名されました。これは、社会のあらゆるレベルで生物多様性への考慮を統合すること、すべての資金の流れを整合させること(目標14)、とりわけ企業が生物多様性関連のリスク、依存関係、影響を評価・開示するよう奨励し可能にする政策を促進すること(目標15)など、約23の目標から構成されます。
本稿では、企業状況を形作っている GBF 採択以来の最近の主な発展を分析し、これが投資家にとって何を意味するのかを明確にします。
自然に関する企業の新たな情報開示
最近の業界および規制上の取り組みは、生物多様性を政策や工程、実施へより良く組み入れるのために必要な手段を開発することに焦点を置いてきました。生物多様性に関して新しく重要な基準や枠組みが、任意・必須を問わず、わずかな期間に多数発行され、企業が生物多様性の保全やリスクに取り組む方法について、明確な期待事項を指定しています。
生物多様性の統合に向けたこの多層的で補完的な新たな構造は、広く採用されることで投資家により多くの情報を与え、こうして企業の実践を触発することによって、自然にやさしい実践への投資にとって有利な条件を生み出すと考えられます。
生物多様性関連の開示基準や枠組みが、最近相次いで発足しています。これらには以下が含まれます:
- 自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)、2023年9月
- 欧州サステナビリティ報告基準(ESRS)、2023年12月
- グローバル・レポーティング・イニシアチブ(GRI)生物多様性基準更新版、2024年1月
三者のいずれもが、自然関連問題に対する企業情報開示に関する指針を提供しています。しかしこれらは、報告活動を超えた利用方法を考える企業にとって、必要な生物多様性評価の指針として役立つ情報を提供する、より根本的なツールにもなりえます。これらの評価はリスク管理やその他のビジネスプロセスに統合することができます。
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