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AIに加えて:2024年におけるテクノロジー部門の主要推進力を探る


主なポイント:

  • 革新的なテクノロジーの大型企業は、潜在的成長力と業績変動性のバランスが取れている傾向がある
  • 改善に向かうマクロ経済の動きは、テクノロジー企業にとってプラスになると予想
  • AI分野、インフラや電子商取引、IT(情報技術)支出、規制の緩和など様々な分野で進展が加速することによって、テクノロジー部門の投資家には豊かな投資機会の源泉が提供される可能性がある

テクノロジー分野の株式は、業績の変動性が比較的高いにせよ、他の株式以上に有望な長期的成長機会の可能性を持った源泉として他分野よりも際立つことがしばしばあると見ています。 投資家は、アクティブ運用のテクノロジー株式戦略を選ぶことで、経験豊富な運用チームおよび比較的高いリサーチ能力から恩恵を得られる可能性があります。このような投資戦略は、確立したビジネスモデルと魅力的なファンダメンタルズを持ち、将来の成長と技術革新のパイプラインに大規模に再投資する能力のある大型銘柄に焦点を当てると、投資家の成長目標とリスク選好性の双方と適合する可能性があります。しかし同セクターでは変転が多く、業界を覆すようなテクノロジーが続々と出現していることは、株式市場が新たな機会を迎え入れるために絶えず適応し、展開していることを意味していると考えています。

現在進行中のマクロ経済や地政学的な問題が引き続き投資家の懸念事項となっている一方、主要なテクノロジー関連のテーマに強く結びついた企業の成長力は、テーマの長期的な推進力に支えられ、今なお衰えていないと見ています。2024年およびそれ以降のテクノロジー株式全域にわたって投資家が考慮するべきと当社グループが考える、強気見通しの主な理由を以下にまとめます。


人工知能 (AI)

AIという、現在の技術的な進展の中で耳にすることが多いと感じる言葉を、はじめに取り上げます。AI(特に生成AI)は部門を越えた進歩、普及、投資により、ここ数年で加速度的に進歩しており、広くいきわたる可能性を秘めています。マッキンゼー・アンド・カンパニーによると、生成AIのサブセット(一部分や部分集合のこと、生成AIの様々な限定応用版)は作業を自動化し、生産性を大幅に上げ、世界経済に数兆ドルという価値をもたらすと予想されています。1  現在、クラウドコンピューティング(インターネットを利用して仮想環境にデータを保存、管理し、また利用できる仕組み)やデータセンターなどのインフラ内でAIの機能を適用することに焦点が置かれていますが、今後時間と共に、企業が自社アプリケーションにAIの機能を取り入れ開発する方向へと拡大すると予想されます。効率の向上を促進するためにAIを利用するケースが多いことから、長期的に成長の可能性が広くあると、当社グループは見ています。

同様に、メタバース(インターネット上に構築された三次元の仮想空間)は、物理的な現実世界とデジタル世界とがつなぎ目なく融合する変革過程の最前線にあると、見ています。過去1年間における生成AIの急速な発展はこの融合を加速させ、完全没入型の体験に向けた下地を作っていると思われます。AIは企業、消費者、投資家にとって前例のない機会を解き放つ推進力として機能し、創造的なコンセプトを没入型のコンテンツと体験へと転換する過程で非常に重要な役割を果たすと、当社グループは見ています。こうした影響の可能性はゲームをはるかに超えて広がり、社会的交流、職場の活力、テクノロジーの進歩を再形成するものと見ています。生成AIにより作成されたデジタルツイン(現実の世界から収集したさまざまなデータを使って、仮想空間で現実の世界を再現する技術)を活用する企業は、より高速で効率的な作業プロセスを体験しており、製品開発から環境シミュレーションまで、メタバースはその汎用性を証明するものと見ています。たとえば、医療部門では、トレーニングのためや患者と医師の現実的な交流のために仮想現実が活用しています。また、AIを活用している企業は、変遷する顧客ニーズにより迅速に適応し、顧客に応じた体験や革新的なサービスを提案しています。 

改善しつつあるマクロ経済動向

2022年6月にピークに達したインフレ率は沈静化にむけて低下しつつあります。これにより市場全般にいく分の安定がもたらされ、米連邦準備制度理事会(FRB)が利上げを終了したという安心感が強まりました。 米10年国債の利回りは昨年5月中旬の約3.5%2 から上昇に向かい、10月には約5%3 でピークに達し、2023年12月末に3.9%まで下がりました。 債券利回りのこの継続的な低下は、リスク性資産、とりわけ成長株に対する投資家心理を改善しました。総じて、インフレ率が徐々に正常化しつつある経済環境に到達しつつあると考えられ、市場では最初の利下げが2024年上半期に予想されています。 利下げが最終的には成長投資のためのより良い環境を支援することになると思われます。テクノロジーにとって重要と考えていることは、電子商取引の成長がコロナ禍後の環境で以前の成長トレンドに戻りつつあることです。2020年の新型コロナウイルス危機の中で、多数の消費者が買い物のニーズを満たすためにオンラインの利用に移行したことで、企業業績などを見ると、電子商取引の利用が大幅に伸びました。しかし、経済活動が2021年および2022年に再開すると、電子商取引の上昇は頭打ちとなり、市場の一部では、トレンドが衰退するのではと懸念されました。しかし、電子商取引の浸透度は現在正常化しており、今後成長のトレンドが改善すると当社グループは予想しています。他方で、メタバースは2030年までに最大5兆ドルの価値を生成し4 、日本経済全体に匹敵する経済力になるとする予測もあります。 

IT支出

調査会社のガートナーは最近の予測で、世界のIT支出が2023年に4.8%(為替レートを一定として算出)増加したと推算しています。5  同社は2024年に対して7.0%の成長を予測し、ソフトウェアがこの拡大を主導し、ITサービスとデータセンターシステムが下支えするとしています。 2023年には外部のITサービスへの支出が史上初めて内部のITサービスへの支出を上回りました。企業は現在、高度に特殊なスキルを要する業務使途向けに、コンサルタントや専門知見を求めています。デジタル世界と物理世界の融合が加速するにつれて新たなコンテンツへの需要が上昇し、半導体メーカーや技術インフラを供給する企業への投資機会を生んでいると見ています。これらの企業は、ビジネスの成長をサポートするために必要となる構成要素やインフラの提供において非常に重要な役割を担います。仮想世界で進む複雑化によって、高度な半導体チップやツールがますます必要となり、半導体業界およびデータセンターを含む関連インフラへの潜在的な投資機会が示唆されていると見ています。これはロボット業界でも同様であり、半導体とAIがロボット手術、マシンビジョン、倉庫自動化、自律走行車など様々な分野に広がり、その重要性がますます増強されることと思います。技術革新の好循環、新たな製品開発、予想される景気の上昇といったすべてが、成長を求める投資家を惹きつける可能性があると思われます。

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デジタル変革およびクラウドの採用 

効率向上のために、新たなデジタル・システムを採用する企業が増えています。クラウドコンピューティングおよびSaaS(サービス型ソフトウェア)は企業にとって、ソフトウェアを購入しメンテナンスする(オンプレミス)よりも利便性が高い方法であることから、その採用が増えてきており、これらのサービスを提供する企業では、顧客企業の継続的な利用がその成長を下支えしており、SaaSへの支出は2022年の1,673億ドルから2024年には2,323億ドルに伸びると予想されています。6   モルガン・スタンレーの最近の研究では、アプリケーションのワークロード(仕事量)のうちパブリッククラウド(クラウドサービスを他の利用者と共同利用する形態)が関わるのは現在は3分の1未満ですが、この割合は今後2年内に45%に上昇する可能性もあります。7

サイバーセキュリティ

サイバー攻撃の頻度と高度化が進んできているために、企業規模の大小にかかわらず、自社および顧客を守るためにサイバーセキュリティ・インフラへの投資を検討する企業が増えており、サイバーセキュリティ市場は2022年の1,540億ドルから2030年には4,250億ドルに成長すると予想されています。8  さらに、企業は現在サイバー攻撃のリアルタイム・シミュレーションを導入し、従業員のトレーニングに投資しようとしています。サイバー攻撃による世界的な被害額が2025年までに年間10.5兆ドルに上ると予想されていることから、このトレンドは今後も続きそうです。9  サイバーセキュリティはCIO(最高情報責任者)の優先事項のトップ3に挙げられることが多く、景気低迷時でも支出が削減される可能性が最も低い分野のひとつとも考えられています。

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安全性を提供する政府の支援

政府による多大な支援が、テクノロジー投資テーマの軌道を形作っていると見ています。各国の政策を見ると、アジア諸国が産業用ロボットの導入において主導的な地位を維持する一方、米国を含む主要経済国は、2024年に投資を増強する姿勢を取っています。米国でのインフラ投資・雇用法(IIJA)、半導体法、インフレ抑制法といった法律は、国内の技術力を高めるための政府コミットメントの規模と野心を示しています。景気変動の影響を受けにくい政府支援の設備投資が大規模なプロジェクトの出現を推進しており、米国が技術力の国内回帰および強化の面で世界の最前線を進んでいると思われます。米国におけるウェアラブルデバイス(身に着けることが可能な機器)向けの6GHz10 帯の開放など規制面での政策はメタバースに関連する機会にとって好都合な展開であり、規制当局と産業の間の積極的な連携を示しています。アップルの Vision Pro(複合現実ヘッドマウントディスプレー、米国で2024年2月初旬に発売開始)のような主力製品の発売は、複合現実に取り組む主な担い手が誰かを浮き彫りにしていると見ています。メタバースの市場規模に関しては様々な予測があるものの、市場のコンセンサスでは今後数年で著しい成長があることが示されており、引き続き楽観的な見通しを強めていると思われます。

底を打つサイクル

国際ロボット連盟(IFR)は、ロボット導入の需要が景気減速の中でも多様化すると見ており、世界の年間設置数が60万台を超えて新たな記録となると予測しています。11  日本の工作機械受注は、世界が自動化市場サイクルのどこにあるのかを評価する先行指標として見ることができますが、これによると、現在底に達している状態であり、2024~25年に反騰があることを示唆していると見ています。 半導体部門の主要企業数社は同様に、PC市場の安定化とスマートフォン市場の回復により、半導体市場のサイクルが底を打ったと指摘しました。半導体にとって有望な成長分野のいくつか(AI、データセンターなど)について上記で言及しましたが、PCおよびスマートフォンが低迷期の後に改善することも、業界全体に希望をもたらすものと見ています。

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企業への参照は例証のみを目的としており、投資の推奨と見なされるものではありません。

(オリジナル記事は1月30日に掲載されました。こちらをご覧ください。)

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