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「なぜ、どのように」生物多様性を上場株式戦略に組み入れるのか
- 2025年1月30日 (7 分で読めます)
生物多様性の損失進行を食い止めることは、環境リスクと社会リスクの両面における主要な問題として急速に世界的政策課題の重要な点として浮上してきました。
生物多様性の損失をもたらす5つの主な要因は、土地・海洋利用の変更、気候変動、汚染、天然資源の過剰開発、外来種1 です。中でも森林、湿地およびその他の自然生息地などに覆われていた土地を農業や都市の利用に転換することを含め、人々が土地や海を利用する方法が最大の要因となっています。1990年以降、約4億2,000万ヘクタールの森林が他の土地利用への転換によって失われました2 。
気候変動は生物多様性損失の2番目に大きな要因です。したがって、気候変動の抑制は解決策の一部となります。森林、泥炭地、湿地などの生態系は地球規模で重要な炭素貯留地です。その保全や回復、持続可能性はパリ協定の目標を達成する上で必要不可欠と考えています。気候変動は生態系の生産性を変化させ、外来種の侵入を一層拡大させ、種同士や種・環境間の相互作用を変化させています。気候と生物多様性は密接に結びついており、一方を考慮せずに他方の改善を追求する価値はほとんどないと見ています。
出所:アクサIM グループ、2025年。例示目的にすぎません。
生物多様性の損失を食い止める緊急の必要性に対処するため、各国政府は昆明・モントリオール生物多様性世界枠組(GBF)を2022年12月に採択しました。この枠組みは気候変動におけるパリ協定に相当します。GBFは、2050年までに生物多様性にプラスのインパクトを与えることを目標として、2030年までに劣化した生態系の30%を保護・回復し、土地、水、海の30%を保全し、食品廃棄物を50%以上削減し、有害な農薬の使用を50%以上抑制することなどを目指しています3 。
気候問題と並んで生物多様性がますます重要になっていることは、自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)提言の採択状況からも窺えます。TNFD枠組みを用いることによって、企業は自然関連のインパクトや依存関係、リスク、機会に関するダブル・マテリアリティ(二重の重要性)評価の実施が可能になります。自然関連の開示が増えることによって、投資家はデータから導かれた知見に基づいて社会や経済に係る自然関連リスクの重要度をより良く評価できるようになると考えられます。
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生物多様性の損失を緩和する解決策を提供する優良企業への投資
アクサIMの分析によれば、生物多様性の保全がGBFに沿った上場株式インパクト生物多様性戦略の鍵です。2030年までに生物多様性の損失を食い止め、2050年までに生物多様性に実質プラスのインパクトを与えるというGBF目標の達成に貢献するとみられる3つの解決策にアクサIMは焦点を当てています。
- 持続可能な食料と農業:水、肥料、農薬の使用や汚染を削減する一方で、肉・乳製品の代替品に消費を転換させることなどにより食料を増産
- 責任ある生産と消費:資源効率を改善するとともに、リサイクルや持続可能な素材、再循環を通じて汚染を削減
- 強靭なインフラ:老朽化した水道網を近代化し、水の消費と汚染を削減するとともに、最新の科学技術を活用して、生物多様性を考慮に入れて設計された持続可能な次世代インフラを構築
また、テクノロジー・イネーブラー(革新的な技術基盤)の役割についても考慮しています。テクノロジー・イネーブラーとは、センサーやソフトウェア、半導体などのインテリジェント・テクノロジーを用いて資源効率を改善し、環境への配慮を強化する製品やサービスのことです。これらは、企業が事業活動をより適切に監視、評価、改善することを可能にし、持続可能な事業運営とより責任ある資源管理に貢献します。
アクサIMの投資理念:測定可能なプラスのインパクトと財務リターンをともに創出
アクサIMの戦略は財務リターンとインパクト分析を同程度に重視しています。長期的なプラスのインパクトを世界的に生み出すには、企業は財務的に健全で、適切な経営を行い、優れた戦略的な位置づけを確保している必要があるとアクサIMは考えています。財務的な強さを備えることによって、企業は高い研究開発能力と執行能力を最大限に生かして、革新的かつ商業的により実行可能な解決策とより広範な販売網を通じて比較的大規模にプラスのインパクトを生み出すことができると考えます。このような質の高い企業は相対的に高い財務リターンを長期的に生み出す可能性がより高く、アクサIMが二重の目標を達成することに貢献すると考えています。
出所:アクサIM 2025年。例示目的にすぎません
アクサIMの基本的な投資方針は以下のとおりです。
- 解決策への投資: 地球温暖化や生物多様性の損失を食い止め、社会的進歩を推進することの緊急性を踏まえれば、インパクトの大きいセクターで事業を展開する企業が成果を上げるのを支援する革新的で大きな影響力のある製品・サービスを提供している企業への投資が、単に自社のフットプリント(活動が環境にかける負荷)を改善したり、ベスト・プラクティス(最善の方法や最良の事例)を遵守したりしている企業への投資よりも、広範で強力なインパクトを与えるとアクサIMは考えています。
- 地球規模の広範なインパクトを追求: 未公開企業へのインパクト投資が地域的なプロジェクト・ベースのレベルで社会や環境にプラスの変化をもたらすことが多いのと比較して、大手上場企業は何百万もの人々の生活に実質的なプラスのインパクトを与えたり、何百万エーカーもの土地の環境を改善したりすることができる大規模な商業的な解決策を提供し、世界的なレベルで現実世界の変化を引き起こすことができると考えられます。
- 現実世界の変化を促すエンゲージメント: アクサIMは、投資先企業の50%以上に対してエンゲージメントを実施することを目指しています。エンゲージメントのテーマは、アクサIMが目標とする社会的・環境的なインパクト結果と結び付いており、改善状況をモニタリングするため経営陣に対し追跡調査を行っています。
- 進捗の測定と報告: 現実世界の変化を測定するに当たり、アクサIMは規律ある透明な手法を採用しており、インパクト・ポートフォリオ、投資先企業、目標とするインパクト結果へのアクサIMの寄与度について可視性を高め、進捗状況を測定・報告するべく継続的に取り組んでいます。
生物多様性に与えるインパクトの定義と測定
アクサIMのインパクト投資の定義は、グローバル・インパクト投資ネットワーク(GIIN)の枠組みに準拠するようにしています。アクサIMは、上場株式のインパクト投資に関するベスト・プラクティスを策定しているGIINワーキング・グループ諮問委員会のメンバーとして積極的に活動しています。
アクサIMの戦略は、アクサIMの上場株式インパクト枠組に基づき、測定可能なプラスのインパクトを主に2つのルートを通じて生み出すことを目指しています。なお、この情報は年次インパクト報告書を通じてお客様と共有しています。
- 投資先企業による貢献: 主として製品やサービスの提供を通じて当戦略が目指す社会的・環境的成果に実質プラスの貢献をしている上場企業に投資します。投資先企業による貢献は、「ヘルスケア・ソリューションから恩恵を受ける人々の数」や「持続可能な農業技術がカバーする面積(エーカー数)」などの当戦略が目指す成果に直接関連したインパクト成果指標(KPI)を用いて企業レベルおよびポートフォリオ・レベルで測定することができます。
- 投資家による貢献: エンゲージメントと議決権行使を活用して、企業に対し、当戦略が目指す社会的・環境的成果への積極的な貢献を増やし、インパクト目標を設定し、インパクトKPIを報告し、負の外部性(ある経済主体の経済活動が、他の経済主体の経済活動に負の影響を及ぼすこと)を削減するよう奨励することによって、上場株式投資家として積極的に貢献します。また、可能であれば、追加増資や新規株式公開を通じて追加資金を提供し、また、報告に関するアクサIMの取り組みを通じて企業の透明性向上を図ります。 投資家による貢献は、例えば、「当戦略が目指す成果に関連するエンゲージメント目標を設定したポートフォリオの割合」や「インパクトKPIを報告している投資先企業の割合の増加」によって測定することができます。
上場株式は、プラスのインパクトを世界的規模で与えるとともに財務リターンを生み出すことを目指す投資家にとって様々な投資機会を提供します。生物多様性に関する具体的な専門知識を備えた経験豊富な資産運用会社のアクティブ運用戦略を選択することによって、投資家は財務目標、地球、世界経済の持続可能性のいずれに関しても満たされた未来に向かうことができると考えます。
過去の実績は将来の成果を保証するものではありません。
オリジナル記事は1月14日に掲載されました。こちらをご覧ください。
ご留意事項
本ページは情報提供のみを目的としており、特定の有価証券やアクサ・インベストメント・マネージャーズまたはその関連会社による投資、商品またはサービスを購入または売却するオファーを構成するものではなく、またこれらは勧誘、投資、法的または税務アドバイスとして考慮すべきではありません。本資料で説明された戦略は、管轄区域または特定のタイプの投資家によってはご利用できない可能性があります。本資料で提示された意見、推計および予測は掲載時の主観的なものであり、予告なしに変更される可能性があります。予測が現実になるという保証はありません。本資料に記載されている情報に依拠するか否かについては、読者の独自の判断に委ねられています。本資料には投資判断に必要な十分な情報は含まれていません。
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アクサ・インベストメント・マネージャーズ株式会社
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