米国ハイイールド社債低炭素戦略の概要
高い信用格付は「投資適格」と見なされ、低い信用格付は「ハイイールド(高利回り)」と見なされます。ハイイールド社債はボラティリティが高く、投資適格債よりもデフォルトリスクが高くなります。信用格付の低い発行体は、債券を購入するインセンティブとしてより高い金利を支払う必要があります。ほとんどの投資と同様に、高い潜在的なリスクを補償するために高い潜在的な報酬が要求されます。ハイイールド社債市場は米国で誕生し、依然として最大かつ最も流動性の高い市場です。
米国ハイイールド社債投資における低炭素アプローチは、ポートフォリオにおいて、より広範な米国ハイイールド市場よりも低いカーボンフットプリントを求める取り組みです。
ハイイールド社債ポートフォリオのカーボンフットプリントを削減する1つの方法は、鉱業などの特定の炭素集約型セクターまたは同様のエネルギー・サブセクターを除外することです。
炭素強度スコアを使用して、他のセクター全般で個別債券を選択することも可能です。これにより、ポートフォリオ全体へのカーボンフットプリント寄与度が低くなります。
炭素強度とは、企業とその直接供給業者の活動の結果として大気中に放出される二酸化炭素換算量を指します。Trucost(S&Pグローバルの一部門)などの外部プロバイダは、多くの上場企業の標準化された広範な環境データを提供しています。このようなプロバイダによる炭素強度は、気候変動への寄与、水使用、廃棄物処理、化石燃料への曝露、土地、水と大気の汚染、天然資源の過剰開発などの要因に関連するデータと分析などに基づいています。
米国ハイイールド社債低炭素戦略への投資を検討する理由
低金利が続く現在の環境では、債券投資家は魅力的な利回りを得るのが難しいと考えています。より高い信用リスクを受け入れられる投資家にとって、ハイイールド社債は、十分に分散されたポートフォリオに大幅な利回り向上をもたらす可能性があります。
同時に、多くの投資家は、環境、社会、ガバナンス(「ESG」)の問題が大きく取り上げられるようになっているため、運用実績以上のものに焦点を当てた投資ソリューションが求められています。2015年、パリで行われた第21回気候変動枠組条約締約国会議(COP21)により、低炭素経済への移行が始まりました。それ以来、一連の規制変更が行われ、環境問題への意識が高まりました。その結果、多くの投資家は、ESG投資を通じてポートフォリオを低炭素経済への移行に合わせようとしています。
アクサIMでは、世界経済がよりサステナブルな脱炭素モデルへの「移行の10年」に入ったと考えています。この移行期間中、炭素強度を積極的に削減し、低炭素投資を目指すことを目的としたポートフォリオは、非金融リスクに耐え、幅広い市場をアウトパフォームする良い位置に付けていると考えています。炭素強度は通常、ESGのE部分に関して最も影響力のある指標として認識されています。炭素強度は、カーボンフットプリントを最小限に抑えるために企業がどのような努力をしているのかを評価する良い方法であると当社は考えています。
ESGと気候変動への注目が高まっていることを考えると、米国ハイイールド市場投資においてより環境に配慮した方法は、魅力的な提案になるでしょう。さらに、米国ハイイールド社債では炭素強度スコアが普及しており、投資機会の多様性が数年前と比べて増加しており、今が絶好の機会と考えています。
当社の米国ハイイールド社債低炭素戦略
当戦略は、広範な米国ハイイールド社債市場への投資において、カーボンフットプリントの大幅な削減を目標にしつつ、お客様が運用リターン目標とESG目標の両方を達成できるよう支援することを目的としています。
当社は除外プロセスを採用しています。つまり、最も炭素を大量に消費するセクターをほぼすべて除外することで、投資可能ユニバースを構築することから始めます。さらに、除外されていないセクター内でのクレジット選択プロセスを通じて炭素強度と水強度のスコアを管理し、過度に炭素集約的であると見なされる企業を回避します。当社はファンダメンタル重視のクレジット投資を行っているため、クレジット分析は依然として当社の運用プロセスにおいて最も重要ですが、ESG要因は追加の洞察を提供するため、パフォーマンスに対する追加要素であると考えています。
当戦略は、アクサIM独自のESGに関する定量的および定性的データとリサーチへのアクセスに加え、十分なリソースを備えた経験豊富な米国ハイイールド社債チームの恩恵を受けています。
投資プロセスで使用されるESGデータは、一部はサードパーティのデータに依存し、場合によっては社内で開発されたESG手法に基づいています。それらは主観的であり、時間とともに変化する可能性があります。いくつかのイニシアチブにもかかわらず、統一された定義がないため、ESG基準が不均一になる可能性があります。そのため、ESG基準やESGレポートを使用するさまざまな投資戦略を相互に比較することは困難です。ESG基準を組み込んだ戦略とサステナブルな開発基準を組み込んだ戦略では、類似しているように見えるESGデータを使用する場合がありますが、計算方法が異なる可能性があるため、区別する必要があります。方法論とその限界に関する詳細は、関連ファンドの目論見書に記載されています。
ACTシリーズの運用戦略は、お客様がより持続可能な世界への移行を先導する企業やプロジェクトに投資できるように設計されています。これらの運用戦略は、ESGインテグレーションに留まらず、ESGテーマによって投資判断を行う運用プロセスを用いるものか、あるいは意図的に、ポジティブで測定可能かつ持続可能なインパクトを追求するものです。
ご留意事項