
トランプ新政権は新興国小型企業に何をもたらすのか?
- 2025年3月26日 (3 分で読めます)
新興国小型株へのいざない(2025年3月)
トランプ新政権は新興国小型企業に何をもたらすのか?
-米中対立とテクノロジー企業の積極投資がプラスの影響を与える-
- 米国の貿易における新興国(除く中国)シェアは今後も拡大する可能性
- 米国大手テクノロジー企業は新政権下でもアジア新興国を中心に設備投資を継続
- 新興国小型企業はこれらの恩恵を受けてトランプ新政権下でも成長継続するものと期待
米国で第2次トランプ政権が誕生し、大幅な関税導入や二国間取引の優先など様々なトピックが株式マーケットに波及、株価の乱高下を引き起こしています。今後実体経済への負の影響が懸念されるなか、新興国に目を向けると、意外にも思われるかもしれませんが、新政権や米国大手企業からの恩恵がもたらされる可能性があると見ています。今回はその恩恵として「米国貿易構造の変化」と「米国大手テクノロジー企業の新興国投資」の二点を紹介します。
今後、米中対立の高まりや関税等の問題激化が指摘されているものの、これらの恩恵が新興国企業、特に小型企業の支えになるものと期待しています。
米国の貿易構造はこの10年で大きく変化、新興国からの輸入シェア拡大
最初に米国の貿易構造、とりわけ輸入がどのように変化してきたのか見ていきましょう。過去約30年の米国輸入における中国のシェアと、メキシコ及びアジア新興国のシェアをそれぞれ見てみると(下グラフ)、2016年以降(第一次トランプ政権以降)中国の比率が低下する一方、メキシコとアジア新興国(中国を除く)の比率が上昇しています。これは第一次トランプ政権下で対中強硬姿勢が高まったことを受け多くの米国企業が生産拠点を中国から新興国へ移していったことによるものと考えられ、バイデン前政権下でもその傾向が継続していたことをうかがわせます。

海外直接投資(FDI)の観点でみても同様の傾向がうかがえます。東南アジア・中南米へのFDIが増加している一方、中国へのFDIが減少しており、企業の投資や生産活動がシフトしてきたことを示唆しています。

トランプ新政権下での「貿易戦争」により、新興国の生産拠点移転は今後も拡大
第二次トランプ政権でも中国への関税引き上げが導入され、それに中国も報復関税で対抗するという「貿易戦争」の構図ができつつあります。これにより、先に見た貿易構造の変化(米国貿易における中国の輸入シェア縮小・中南米及びアジア新興国の輸入シェア拡大)は今後も継続することになると考えられます。
既に多くの有名企業が中国以外での生産移転・生産拡大を計画しており(下表)、今後も米国企業・多国籍企業は米中の地政学的な不確実性から中国事業の見直し、投資計画の変更を検討するものと思われます1 。
米国小売企業による新興国製品輸入拡大も期待される
ここまでサプライチェーンの観点から貿易構造の変化や見通しをみてきましたが、トランプ新政権が仕掛けようとしている「貿易戦争」は米国の小売にも影響を与えるものと思われます。高関税を避けるため中国からの輸入を減らし、新興国からの輸入を大きく増やす可能性があるからです。
例えば米小売最大手のウォルマートは、中国からの輸入を減らして依存度を下げ、特にインドからの輸入を増やしています。同社は、玩具や電化製品に加え、自転車や医薬品、さらにパッケージ食品やパスタなどもインドから輸入しています。
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米国大手テクノロジー企業はアジア新興国へ大規模設備投資を進める
トランプ大統領は「アメリカ・ファースト」を掲げる傍ら、テクノロジー発展によるイノベーション(技術革新)も支持しています。そのイノベーションの中核を担う米国大手テクノロジー企業にとって(中国を除く)アジアは経済の高成長が見込まれる重点地域であり、現在大規模な設備投資を進めています。特に、アルファベット傘下のグーグル、マイクロソフト、アマゾン・ドット・コムは、アジアの新興国で設備投資や事業展開を拡大しています(下表)。

また、新興国政府の要請で米テクノロジー企業が生産を開始する例もあります。インドネシアにおけるアップルのiPhone関連部品生産がその例です。インドネシア政府は2025年1月初め、アップルが同国に10億ドルを投じて新工場を建設すると発表しました。アップルはインドネシアでの最新iPhone販売のために同国での生産比率を高め、インドネシア企業の製品やサービスをなるべく使う必要があり、新興国企業への追い風になると思います。
新興国小型企業が米国新政権下でも成長すると考える理由
ここまで米国新政権・大手企業の動向が新興国経済にとってプラスの影響を与える可能性をみてきましたが、特に新興国小型企業の成長にとっては次の点が重要であると考えます。
- 新興国小型企業は主に自国ないし周辺国内需に立脚するため、生産拠点の移転やそれによる投資・消費増に伴った成長が期待できると考えます。
- 新興国小型企業は成長ポテンシャルを有している反面、知名度に欠け十分に企業調査されてないケースが多く見受けられます。この点、米国製品のサプライチェーンに参画することができれば小型企業にとって技術力・ブランド力向上につながり、結果的に企業価値向上に寄与します。
- また新興国小型企業は、売上・利益規模が小さいことから設備増強(とりわけITインフラ)や生産効率化のための投資が十分に行われないケースもあります。
この点については、米国大手テクノロジー企業の新興国投資がキードライバーになります。クラウドサービスやデータセンターの展開およびAIトレーニングの提供等は、地域企業にとってITインフラ整備のコスト削減や最新技術へのアクセスを容易にするため、特に成長ポテンシャルがある小型企業への恩恵になると見込まれます2 。
企業への参照は例証のみを目的としており、個別銘柄への投資を推奨するものではありません。
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