
2025年の見通し:ネットゼロに向けた取り組み
- 2024年12月16日 (5 分で読めます)
主なポイント
Nigel Topping(気候変動政策アドバイザー、元COP26国連気候変動)による寄稿
2025年には、太陽光発電や風力発電、電気自動車(EV)といった成熟した技術が指数関数的に普及を続けると見ています。ただし、一部の地域では、取り組みが思うように進まず、挽回が難しいとの認識から、混乱に陥り始めるところも出てきました。
ただし、フォルクスワーゲンがドイツの自動車工場を閉鎖1 するからといって、EV革命が減速していると考えるべきではありません。例えば、EVメーカーのBYD2 は急速に中国国外に新しい拠点を建設しています。また、EVのコストが下がり続ける中、世界的な成長トレンドに注目しても良いと思います。
次の波をもたらす技術は、主要国の分野別政策に支えられ、新開発の設備にとどまらず、量産に向けて指数関数的な成長を始める可能性があると見ています。これには、持続可能な航空燃料、低炭素セメント、長期エネルギー貯蔵、ゼロカーボン輸送などが含まれます。
これらの産業技術のためだけでなく、送電網の強化や自然を基にしたソリューションの拡大に必要となる多くの資金を提供するため、ますます多くのファンドが立ち上げられると見ています。
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発展途上国市場の成長
特に新興国市場においては、リスク回避における保証と保険の役割に対する意識が今後高まり続けると思います。 たとえば、世界銀行は依然として発展途上国に多額の融資を行っていますが、民間部門の資本を動員するため、新たな保証プラットフォームを通じて、「主として融資するだけの機関からより大きな影響力を持つ機関」への方向転換を目指しています。3
新興国市場のリスクに対する認識の変化は今後も続き、再生可能エネルギーは中国とインドで目覚ましい成長を遂げ、それはラテンアメリカ、アフリカ、東南アジアの他の国々にも拡大すると見ています。インドネシアが最近発表した2040年までの燃料としての石炭の段階的廃止は、再生可能電力の将来に対する信頼が高まっていることを示す一例と見ています。4
また、太陽光発電コストの大幅な低下は、パキスタンに見られるような、低コストと信頼性の向上を認識する消費者や中小企業が推進するボトムアップによるパネル導入拡大だけでなく、国の計画に基づくトップダウンでの導入推進にも寄与すると見ています。
RMIによる最近の調査によると、新興国市場の約4分の3は、非常に豊富な再生可能資源を有し、対外収益を化石燃料の輸出に依存しないという有利な状況にあります。5 これはつまり、新興国市場が価格変動の大きな化石燃料の輸入を低コストの自家発電に置き換える機会と動機の両方を持っていることを意味していると見ています。
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英国:トレンドを先導するか?
英国は、最近発表した国別削減目標(NDC)で、2035年までに排出量の81%削減を目標としており、今後もこの分野で世界をリードするとみられます。6 新政府は、産業による熱の利用、建物、農業からの排出量に関して、これまで具体性を欠いているとの気候変動委員会(CCC)の批判に応え、特定の分野の政策を引き続き推し進めることが期待されます。
CCCは、来年2月に第7次炭素予算に関する詳細な勧告を議会に提出し、2040年代初頭に90%削減、2050年までに実質ゼロとするための道筋を示す予定です。7
同国における主な政治的課題は、移行に伴う初期費用を時間内に、かつ人口を構成するグループ全体に公平に配分するための政策をどのように実施するかということです。 英国の国富ファンドによる最近の公営住宅改修への大規模投資は、今後の方向性を示唆しているかもしれません。8
このリーダーシップは、来年ブラジルのベレンで開催されるCOP30(第30回国連気候変動枠組み条約締約国会議)に向けてすでに役立っています。COP30では、すべての国がより強化されたNDCの提出が義務付けられています。英国だけでなく、ブラジル、アラブ首長国連邦もすでにCOP29で目標を引き上げており、パリ協定の要求に応じてますます多くの国が取り組みを強化するとの期待が高まっています。
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資本の流れ
ラテンアメリカでは、チリなどの多くの国で化石燃料の輸入に代わる豊富な再生可能エネルギーと、特に銅とリチウムの需要の高まりから恩恵を受ける強力な鉱業界により、成長の継続についての自信を高めています。
新興国市場にどれだけの資本を注ぐ必要があるかについての議論は、資本コストの高さに関する包括的な見方から、どこで条件が熟し、その他で何が必要とされているかといったより正確な分析に置き換えられ、ますます詳細なものになっていくと考えられます。
たとえば、ますます多くのアフリカ諸国が国際投資に可能な環境を整えており、最近ではナイジェリア、ケニア、ナミビアが、クリーンテクノロジーへの投資対応状況に関するブルームバーグのクライメートスコープ評価で新興国市場のトップ10に躍り出ています。9 .
また、国際炭素市場の自信回復と成長が期待されます。これは、バクーで開催されたCOP29でパリ協定第6条(国際的な炭素市場のルールを決める条項)に関する交渉が完了し10 、自主炭素市場健全性イニシアチブと自主炭素市場健全性評議会によって供給側と需要側の両方の基準が継続的に改善されたことによるものです。
また、更新された科学に基づく目標設定イニシアチブイニシアチブ(STBi)基準11 と、英国など移行計画に関する推奨内容を規制に変換する地域の動きとによって、ネットゼロ(温室効果ガスの排出量を、吸収量や除去量と合わせて、全体で正味ゼロにすること)に向けた企業の移行計画における炭素クレジットの限定的な使用が承認される可能性もあります。
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より大きな拡大と地政学
中国は、太陽光発電から重要な鉱物の生産そしてEVに至るまで、複数の分野で優位性を保つことが予想されます。大幅に遅れをとった国内産業を関税で保護しようとする国々は、世界が広いことに気づき、また、生産拠点による雇用拡大と石油の輸入に代わる電化のメリットにより、中国メーカーを歓迎する国がたくさんあることに気づくでしょう。
筆者は、ラテンアメリカ、東南アジア、そして欧州と米国の周辺国(たとえばトルコやメキシコ)に、さらに多くのテスラとBYDの工場が誕生すると予測しています。
トランプ次期米大統領のこれまで以上に大胆な関税戦争に関する公約が、市場に精通し経験豊富な新チームによってトーンダウンされるかどうかを興味深く見ています。また、インフレ抑制法(IRA)が早々に廃止されることはないと見ています。トランプ政権1期目は、石炭の復活という公約に基づいて選出されたが、石炭火力発電所は彼の任期中、バラク・オバマ時代よりも早期に廃止されました12 。 そして、トランプ政権1期目はパリ協定から離脱したにもかかわらず、風力発電の税額控除を廃止しませんでした。そして、主に共和党支持州でIRAがもたらす膨大なメリットを彼が廃止するとは考えにくい状況です。
市場にはイデオロギーを圧倒する力があると思います。コストの継続的な低下、輸入の代替と雇用創出の恩恵により、政策改革、需要シグナルの改善、投資の増加、さらなるコスト削減が推進されると見ています。 地政学的には引き続き困難な状況にもかかわらず、ネットゼロに向けた取り組みは、エネルギーと産業技術全体で2025年も加速し続けると考えられます。
新年に向けた筆者の願いは、12月にリヤドで開催(2~13日)される砂漠化対処条約(UNCCD)国連会議COP16において土壌の回復と再生農業に新たな焦点が当てられ、また、2025年11月に開かれるブラジルが議長を務める同国ベレンでの気候変動会議COP30で、これらの市場に必要な大規模な支援を提供し、2030年までに指数関数的な軌道に乗せることです。
残念ながら、一つだけ確かなことは、異常気象による人的・経済的被害は今後も続く一方で、すでに生じた被害に追いつき、追い越すだけのイノベーションの画期的成果にはまだ程遠いということです。
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過去の実績は将来の成果を保証するものではありません。
(オリジナル記事は12月11日に掲載されました。こちらをご覧ください。)
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