アクサIMを名乗る者からの投資勧誘等にご注意ください。詳細はこちら

債券戦略について2025年に考慮するべき5つの事柄

主なポイント
利回りは引き続き相対的に良好な水準にあるが、クレジットスプレッド(発行体の信用力の差に基づく利回りの差)がタイトな(縮小した)水準にあるため、ボラティリティ(変動性)が高まる可能性のあるこの一年を乗り切る上で、債券戦略では柔軟なアプローチを取ることが非常に重要になると見ている
アクサ・インベストメント・マネージャーズ・グループ(以下、アクサIMといいます)は、債券市場の中で比較すると、信用力に敏感な投資適格債券市場およびハイイールド債券市場の幅広いセクターについて肯定的な見方をしている
リスク調整後のリターンを最大化しようとする投資家にとって、短期デュレーションの債券戦略が相対的に良好な投資機会を提供すると見ている

1. 債券は依然として相対的に良好な資産クラス

債券市場の利回りは従来の水準と比べて高くなっています。ブルームバーグ・グローバル総合インデックスの利回り水準は過去20年で78パーセンタイル*、過去10年で88パーセンタイル*となっています[1]。この資産クラスでのインカムの複利という特性から、投資開始時の利回りは長期的にプラスのトータルリターンと相対的に強い相関関係にあります。

*:パーセンタイル(小さいほうから順番に並べ、何パーセント目にあたるかを示す値)

先進国市場全体ではインフレ率は、新型コロナウイルス後に通常と比べ大きく上昇した後急速に低下し、経済成長は比較的低調ではあるものの、安定的に推移しています。このことは、アクサIMが2025年に実現すると予想している各中央銀行の利下げを裏付けるものであり、債券戦略にとってインカム以上にリターンを押し上げる可能性があると見ています。これは、債券市場価格の値上がり益、及び、各発行体のファンダメンタルズの強化が進むことによって発行体が直面している金利負担の上昇からの影響が弱まっていることの双方に由来するものと考えています。

長期的には金利の低下により、これらの債券から受け取るインカムは減少するでしょうが、10年前に見られた水準まで低下するとは予想していません。

総合的には利回りは依然として相対的に良好ですが、信用スプレッドはタイトであり、地政学的リスクや保護主義からの逆風および、比較的高利回りの環境が企業の財務状態に及ぼす遅発効果等を考慮に入れると、インフレの不確実性および信用リスクプレミアムの上昇からボラティリティが増大する可能性があります。ボラティリティが高くなる可能性のあるこの一年を乗り切る上で、債券戦略の投資対象内で配分と銘柄選択に柔軟なアプローチを取ることが非常に重要になると見ています。

2. 投資家はクレジットから国債に移ることを考えるべきでしょうか?

社債などのクレジット市場がどれだけ相対的に良好かを評価するための一般的な指標の一つに、国債に対するクレジットスプレッドがあります。米国の投資適格債券市場のスプレッドは、世界金融危機以前からの最低水準に近くなっています。米国のハイイールド債券市場も同様の水準になっています。欧州の投資適格債券市場とハイイールド債券市場は米国ほどタイトではないものの、長期的平均よりもタイトな状態です。このタイトなスプレッド状況は、国債に対する超過リターン獲得の可能性について、債券戦略にとっては警戒信号となると見ています。

しかしアクサIMは、債券市場の価格水準が概ね適正であると考えており、何か市場イベントが発生しない限り、比較的大きな価格下落が起こるとは予想していません。

各主要中央銀行の利下げ、企業の相対的に良好な財務状態、市場全体にわたる当面の財政刺激策は、良好なファンダメンタルズを維持し、投資適格債券市場やハイイールド債券市場にとって強力な支援になると見ています。ハイイールド債券市場に限って言えば、ライジングスター(ハイイールドから投資適格に格上げされた債券)の数がフォーリンエンジェル(投資適格からハイイールドに格下げされた債券)よりも多い傾向と、デフォルト率も比較的低い水準が続いています。米国市場では、ハイイールド債券の発行体の平均信用度が近年上がっており、一方で市場全体のデュレーションは下がっています。この状況は、構造的に信用スプレッドの縮小を下支えするものと見ています。

さらに、2024年から2025年初旬にかけて増加した債券発行数は、債券への配分を検討する投資家からの健全な需要と呼応してきました。多くの投資家が未だ様子見の態度を取り、信用スプレッドが広がるのを待って債券戦略に資金を配分しようと考えている可能性があると見ています。信用スプレッドが拡大した場合でも、これら投資家からの需要によって吸収され、スプレッドは再び縮小する可能性があると考えます。

とは言うものの、アクサIMはスプレッドがさらに縮小する余地はあまりないと見ており、このため投資適格債券市場やハイイールド債券市場が国債市場を上回る超過リターンは、現状のタイトなスプレッドの幅程度に制限されると見ています。

アクサIMは、債券市場の内で比較すると、信用力に敏感な投資適格債券市場およびハイイールド債券市場の幅広いセクターについて肯定的な見方をしています。

3. カーブのどこに最良の機会があるか

イールドカーブは2023年から2024年にかけて逆イールド(短期利回りが長期利回りよりも高い状態)化が顕著に進んだ時期以降、現在(執筆時)順イールド(短期利回りが長期利回りよりも低い状態)のスティープ(急こう配)化が進んでいます。下の図に見られるように、米国、欧州、英国における10年国債の利回りは現在、各2年物に比べて概ね30ベーシスポイント(bp)高くなっています。これは過去の平均と比較すると小幅の追加利回りになります(80~100bpの差異)。

出所:アクサIM、ブルームバーグ、2025年1月22日付

リスク調整後のリターンを最大化しようとする投資家にとって、短期デュレーション債券戦略が相対的に良好に見えるのには以下の理由があります:

  • 短期デュレーション市場の特性として本来的に流動性がある
  • 金利デュレーションが相対的に短いことから、ボラティリティも相対的に低下すると考えられる
  • 短期政策金利が引き続き緩和されるのに対し、拡大する財政赤字とインフレという逆風により長期債券利回りが高止まりすることで、イールドカーブのスティープ化が継続する可能性があると思われる

しかし長期債券に対するバリュエーションにとって最近好ましい変化があったことで、一部の投資家がマネーマーケット運用から短期デュレーション債券戦略へ、短期デュレーションから全償還期限戦略へと移行するのに十分な状況が生まれていると見ています。全償還期限戦略の支持者は、利回りの小幅な上昇(約30bp)、再投資リスクの低さ、長期利回りが下落する可能性を利点に挙げると思われます。

クレジット市場への投資家にとって、スプレッド曲線は国債利回りの曲線よりも勾配がわずかに急になっていますが、過去の平均よりもなだらかになったままであることから、この資産クラスへの需要が続いていることを示しており、また、その結果すべての償還年限にわたってばらつきが少なくなってきています。

現在の市場で短期デュレーションが相対的に良好だとアクサIMが考える理由についてはこちら(英文)で詳細をご覧ください。

4. どの地域を見るか:ユーロか、米国のクレジットか

欧州のクレジット市場であれ米国のクレジット市場であれ、アクサIMは双方ともに相対的に良好な投資機会と考えますが、理由は異なります。

欧州については、アクサIMは欧州中央銀行(ECB)が2025年に金融政策の緩和を継続し、2025年末までに(あるいはもっと早く)預金金利を1.5%に引き下げると予想しています。この金融緩和は欧州での経済の成長鈍化(2025年は1.0%の予想)を反映していますが、このことは、債券投資家にとって、企業の相対的に堅牢なファンダメンタルズと共に、利回りが低下するにつれてトータルリターンの上昇を得られる可能性があると見ています。 この金融緩和によって、欧州について鈍化の見通し(2025年に2.3%)および、貿易に敏感なセクターにおける関税や貿易戦争の影響が相殺される必要があると考えます。アクサIMはドル高の動きが継続すると見ていることから、ドル以外の投資家にとって、欧州債券戦略は為替ヘッジをベースとして、特にクレジットにおける投資機会が相対的に良好と見ています。

一方、米国に関する見通しは、トランプ大統領の政策によって決まると見ています。同氏の政策がどのような効果をもたらすかは不透明ですが、市場では2026年の成長に影響があるという見通しが強まっています。インフレが2025年に関する第一の懸念であり、これにより米連邦準備制度理事会(FRB)の金融緩和余地が制限され、インフレ沈静化が広く進まなくなる可能性があると見ています。むしろ、米国経済は2025年に成長の底堅さを維持するか、改善する可能性さえあると見ています。この短期間の成長加速は、米国ハイイールド債券戦略などベータ値が比較的高い戦略に追い風となる可能性があると見ています。共和党議会はすでに歳出を抑制しない意向を示していることから、2025年の市場は財政面に関連してボラティリティの上昇に備えるべきと、アクサIMは考えます。

他方で米国の保護主義、中国の景気低迷と長期平均を下回る成長予想により、新興国市場にとって困難な環境になる可能性があると見ています。アクサIMは依然として、新興国市場の様々な地域にわたって、特に投資適格債券市場には比較的多くの投資機会があると考えます。この資産クラスへの投資戦略ではこれまでと同様、銘柄選択が引き続き重要な要素と見ています。

5. ネットゼロの目標は追求する価値があるか

グリーン移行への投資は引き続き、世界的に主要なテーマであり、バイデン政権が提供していた支援の一部をトランプ政権がすでに撤回し始めた米国でさえ同様であると見ています。特に再生可能エネルギーおよび電気自動車の技術は、主に新興国市場からの需要とその地域での生産に牽引され、2025年にも勢いが衰えないと考えます。人工知能(AI)関連データセンターの為の電力需要が急速に増加していることに対して、再生可能エネルギー発電の拡大および送電網のアップグレードによって対応されると見ています。したがって電力会社や送電網をサポートする技術のサプライヤーが恩恵を受けるものと見ています。

ネットゼロ目標を債券ポートフォリオに反映させたいと考える投資家にとって、これを実践する方法は主に2通りあると考えます。それは、炭素移行戦略およびグリーンボンド戦略です。

炭素移行戦略により投資家は、コミットメントと高水準の目標設定から、低炭素経済への移行を支援するために、投資ポートフォリオ内での具体的な行動へとシフトできます。

グリーンボンド戦略は、特定の環境目標を掲げるプロジェクトに資金を提供するもので、これらのグリーン・イニシアチブの進捗度を監視するために透明性の高いKPIという追加のメリットを受けることができます。

ネットゼロ投資に関する詳細は、2025年見通し:ネットゼロに向けた取り組みをご覧ください

企業への参照は例証のみを目的としており、個別銘柄への投資を推奨するものではありません。

過去の実績は将来の成果を保証するものではありません。

(オリジナル記事は1月28日に掲載されました。こちらをご覧ください。)

本資料で使用している指数について

ブルームバーグ・グローバル総合インデックス:ブルームバーグが算出する、24自国通貨市場の投資適格債券の主要指標です。

※本資料中の指数等の著作権、知的財産権、その他一切の権利はその発行者に帰属します。

    ご留意事項

    本ページは情報提供のみを目的としており、特定の有価証券やアクサ・インベストメント・マネージャーズまたはその関連会社による投資、商品またはサービスを購入または売却するオファーを構成するものではなく、またこれらは勧誘、投資、法的または税務アドバイスとして考慮すべきではありません。本資料で説明された戦略は、管轄区域または特定のタイプの投資家によってはご利用できない可能性があります。本資料で提示された意見、推計および予測は掲載時の主観的なものであり、予告なしに変更される可能性があります。予測が現実になるという保証はありません。本資料に記載されている情報に依拠するか否かについては、読者の独自の判断に委ねられています。本資料には投資判断に必要な十分な情報は含まれていません。

    投資リスクおよび費用について
    当社が提供する戦略は、主に有価証券への投資を行いますが、当該有価証券の価格の下落により、投資元本を割り込むおそれがあります。また、外貨建資産に投資する場合には、為替の変動によっては投資元本を割り込むおそれがあります。したがって、お客様の投資元本は保証されているものではなく、運用の結果生じた利益および損失はすべてお客様に帰属します。
    また、当社の投資運用業務に係る報酬額およびその他費用は、お客様の運用資産の額や運用戦略(方針)等によって異なりますので、その合計額を表示することはできません。また、運用資産において行う有価証券等の取引に伴う売買手数料等はお客様の負担となります。

    アクサ・インベストメント・マネージャーズ株式会社
    金融商品取引業者 登録番号: 関東財務局長(金商) 第16号
    加入協会: 一般社団法人日本投資顧問業協会、一般社団法人投資信託協会、一般社団法人第二種金融商品取引業協会、日本証券業協会

    お問い合わせ先:TOKYOMARKETING@axa-im.com

    ページトップへ