マクロ・投資戦略レビュー(2月) - FRBのハト派転換期待の終焉
キーポイント
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経済の強靭性を示す指標が続いており、中央銀行の金利動向に対する市場予想に大きなタカ派的な変化をもたらしている。
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このため、慎重な姿勢を維持すべきだろう。景気後退の可能性は大幅に低下したが、累積した金融引き締めの効果は今後遅れて顕在化する可能性がある。
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米国の一株当たり利益は、依然として長期トレンドを上回っている。
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テクノロジーおよびエネルギーセクターは、通常を上回る利益を享受している。
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長期投資家は現在のバリュエーションレベルに気を取られるべきではない。
1月の本レビューでは、経済の強靭性が中央銀行にフラストレーションを引き起こす可能性があり、最終的には、最近まで揺るがなかった「ドビッシュ・ピボット(政策のハト派への転換)」という市場の見方と衝突する可能性があると書きました。この数週間で、ようやく市場のプライシングに大きな変化がありました。米連邦準備制度理事会(FRB)と欧州中央銀行(ECB)のターミナルレート(利上げの最終到達点)予想は上方修正され、さらに重要なことは、FRBによる今年後半の25bpsの利下げ織り込みが解消されつつあることです。これは、実体経済の継続的な強靭性、あるいは経済の再加速すらを示唆する多くの指標と、金融政策当局のタカ派的発言との組み合わせによるものです。
FRBの積極的なタカ派姿勢は、現在のマクロ経済回復の持続性に影を落としています。累積的な金融引き締めの影響が顕在化するまでの時間を計る簡単な方法はありません。前例に注目するしかありません。過去のFRBの引き締め局面における労働市場の反応は、しばしば顕在化が遅れました。3つのケース(1988-1989年、1994-1995年、 1999-2001年)では、雇用創出が減速し始めたのは引き締めからおよそ1年後でした。労働市場が金融引き締めに反応するのが12〜18カ月後というのは、米国経済のかなり規則的な特徴のようです。ユーロ圏では、1月に信用インパルス(企業・家計向け新規融資の前年同月比)が大幅なマイナスに転じ、企業は厳しい融資条件に直面するようになっています。市場が中央銀行の金利動向予想を上方修正したことで、広範な金融環境は12月と1月に見られた緩みから一転して引き締まってきており、実体経済への圧力はさらに強まるでしょう。
市場は、年明けは予想以上に堅調なスタートを切りましたが、2023年全体については引き続き過度な楽観は慎みたいと考えています。
(オリジナル記事は2月23日に掲載されました。こちらからご覧ください。)
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