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グリーンボンドをグローバルの配分に組み入れる方法

  • 2023年10月4日 (3 分で読めます)

キーポイント:

  • グリーンボンドは、引き続き環境面での利点を実現するために最も適切な手段のひとつである一方で、グローバルで多様化し十分にバランスの取れたユニバースへと広がっています
  • この資産クラスへの投資家の投資意欲は依然として強力ですが、トラッキング・エラーの問題に直面することがあります
  • グリーンボンドは米国債への少額の配分と組み合わせることで、トラッキング・エラーの問題を解決しながら、グリーンボンドへの投資のメリットを得られる可能性があります

グリーンボンド市場の成長と機会

グリーンボンド市場は過去2~3年で、小規模で特殊な市場から、従来の債券市場に代わりうる信頼性の高い市場に成長しています。クレジット・セクターの多様化が継続し、ソブリンの発行が増加しており、今年初からのグリーンボンドの発行額は2022年と2021年に達成されたこれまでの最高水準を25%上回っています1 。この資産クラスは、比較的高い透明性という利点があり、融資したプロジェクトを追跡し、環境面での利点を評価し、明確なKPIに照らして測定できる為に、歴史的に投資家を惹きつけてきました。グリーンボンドは今日、高水準の発行が続いているので、700を超える発行体と1.4兆超ドルの時価総額をもつグローバルで多様化したユニバースを提供できるまでに至っています。

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出所:アクサ IM、Bloomberg 2023年8月31日現在

投資家の強力な投資意欲

気候変動のリスクに関する意識の高まり、透明性に対する需要の増加、規制上の監視といった背景の中で、この商品の潜在力を最初に把握したのが機関投資家でした。しかし信頼性の高い持続可能な投資ソリューションへの需要が急増したことによって、大手金融機関や個人投資家もグリーンボンドに興味を抱くようになりました。金利が数年ぶりの高水準に達したことから、中央銀行の金利がピークに近づきつつある現在、グリーンボンドも従来の債券ユニバースと比較して、魅力的な利回り水準と適切なキャピタルゲインを獲得しうる可能性を提供しています。

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出所:アクサ IM、Bloomberg 2023年8月31日現在

しかし、一部の投資家が、グリーンボンドを完璧に適合するように個別の配分を構築する柔軟性を持っているとしても、投資家の多くは未だに伝統的なベンチマークに基いた戦略的な資産配分を行い、トラッキング・エラーの問題に直面しています。

トラッキング・エラーの問題

グリーンボンド市場は平均デュレーションや格付けという観点では従来の債券市場に近づいてきたと思われますが、依然としていくつかの違いがあります。グリーンボンドのユニバースは従来の市場と比べてユーロ建てやドル建て債券への集中度が高く、クレジット・セクターの債券へのエクスポージャーが高くなっています。

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出所:アクサ IM、Bloomberg 2023年8月31日現在

これらの違いにより、グローバル・グリーンボンド指数とグローバル総合指数との間に200bpsに近いトラッキング・エラーが起こることになります。歴史的にはこれが大きなパフォーマンスの違いにつながることはなく、過去5年間における両ユニバース間の相関性は約91%でした2 。それでも2022年に見られた金利ボラティリティの上昇時に特に浮き彫りになりましたが、グリーンボンド配分を伝統的な債券総合指数と比較検討する際に、これらの違いを無視するべきではありません。

グリーンボンドを米国債と組み合わせる

グリーンボンドに配分しつつトラッキング・エラーの問題にも対処する非常にシンプルな方法があると、当社は考えます。グリーンボンドと米国債を組み合わせることでパフォーマンスの相関性が上昇し、グローバル債券指数のユニバースに対してトラッキング・エラーが減少することを発見しました。この組み合わせは、非常に流動性が高く低コストの方法を用いながら、上記で示したグリーンボンドと従来の債券市場の間の2つの主な違いに対処するものです。

当社は最適な配分を決定する目的で、グリーンボンドと最高40%の米国債を組み合わせたポートフォリオの組み合わせを数種類試行しました。その結果、米国債の配分が25%までであれば、より高いか類似の利回り水準を保ちながら、トラッキング・エラーが低下しパフォーマンスの相関性が向上することが判明しました。しかし米国債の配分を増やし続けると、相関性が上限に達し、トラッキング・エラーも下限に達しますが、その後相関性が低下に向かいます。

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出所:アクサ IM、Bloomberg 2023年8月31日現在

グリーンボンドに75%配分し、米国債25%と組み合わせた場合が、潜在的にグリーンボンドへのエクスポージャーを獲得し、トラッキング・エラーを最小限に抑え、相関性を最大にし、結果として得られる配分の利回りを維持するのに最適な方法であると、当社は考えます。このような組み合わせは確かに、グローバル総合指数のユニバースと98%の相関性(グリーンボンドのみの場合の91%から上昇)を提供し、トラッキング・エラーは1%(グリーンボンド指数ユニバースによる実績の半分)になります。

今後の展望

グリーンボンド市場はますます活況を呈してきており、今後も引き続き興味深い投資機会を提供するものと思われます。魅力的なバリュエーションと信頼性の高い持続可能なソリューションを求める投資家にとってバランスが十分に取れたこの債券ユニバースは、透明性、測定可能性、絶対と相対の両面で魅力ある利回りという利点により、とりわけ魅力的になっています。グリーンボンドのユニバースに対する独自のアプローチを採る場合であれ、組み合わせの戦略を採る場合であれ、投資家は革新的でありながら率直な方法でこのユニバースの利点を活かすことができると当社は考えます。

 

 (オリジナル記事は9月26日に掲載されました。こちらをご覧ください。)

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