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バイ・アンド・メインテイン 社債ポートフォリオによって 慎重に運用


主なポイント:

  • バイ・アンド・メインテイン(B&M)戦略は、戦略を運用する運用機関の顧客である投資家に、パッシブ運用で想定される欠点を回避しながら、伝統的なアクティブ戦略と同様の長所を多く提供できる可能性があると考えています
  • 回転率が低く投資の時間枠が長期にわたるB&M戦略は、市場サイクル全体を通して比較的良好なパフォーマンスを上げる可能性のある債券に投資して保有することを目指します
  • この戦略は、ESG(環境、社会、ガバナンス)目標から比較的安定性の高い長期的リターンまで、複数の目標のバランスを取ることに役立つ手段を投資家に提供できると考えています。

B&M戦略の債券ポートフォリオは時に、活気の無い「設定して放置」型の投資手段と理解されてしまうことがあります。しかし、そうではなく、長期に焦点を当て、アクティブに運用される戦略です。

また、B&M戦略の比較的低位の回転率は、市場で主流の他のアクティブ戦略と同様のメリットの多くを生み出す可能性があり、同時に投資家が従来のパッシブ型の債券運用に想定される欠点を回避することに役立つ可能性があると考えています。

以下の説明では、アクティブ運用の長所を考察し、B&M戦略と従来のアクティブ戦略との違いを説明し、投資家がB&M戦略でどのように「アクティブになる」ことができるかを見ていきます。


ポートフォリオに対するアクティブ運用の長所

当社グループは昨年中旬の論考で、社債におけるB&M戦略投資の主な長所を概説しました。それには以下の点が含まれます:

  • パッシブ戦略の場合に固定の指数構成銘柄(格下げになった債券の売り手を強いられる)と指数構築(負債残高が比較的多い債券やセクターへの組入れ比率の偏り)が原因となって内在する非効率性を回避することによって、従来のパッシブ債券投資に想定される欠点を克服することに役立つ可能性がある
  • 積極的にモニタリングを行い、長期的なトレンドを見越し、または短期的な動向に対応して、リスクの取り方を批判的な目で修正する。従来のパッシブ戦略では結果的に、唯一の品質管理(銘柄選択)が、運用としては第三者である信用格付け機関に委任される形になっている
  • ネットゼロ、生物多様性、社会的要素といった投資家の財務・非財務両面の目標を達成するために、責任投資の考慮事項を統合することができると考えられる

投資家は、B&Mまたは従来の「フル・アクティブ」戦略を通したアクティブ運用により、格下げの可能性が高いと思われる債券を回避し、債券が格下げされた場合の組入れを管理し、また、常に継続的にこれらの組入れ状況を修正するという、こうした目的に向けてポートフォリオを設計することができます。

さらに投資家は債券のアクティブ運用により、複数の目標のバランスを取りながら、上記の長所のひとつに集中するのでなく、各長所を組み合わせることができると思われます。一方、従来のパッシブ投資はこれらの長所のいずれも提供するものではないと見ています。

こうした長所が、アクティブ型の債券戦略によってパッシブ型の債券戦略を上回る成果を上げ、または、比較的低いリスクで同様の成果を上げることができる理由となると、同社グループは考えています。


B&M債券運用と「フル・アクティブ」債券運用との相違点について

B&M戦略はアクティブにモニタリングと管理を行うもので、投資家のリターン目標およびESG目標の双方を実現する上で重要であると思われます。しかし、B&M戦略と「フル・アクティブ」戦略とは、両者の境界線がしばしばはっきりしないことがあるものの、区別される必要があると考えています。両者の相違点を以下に概説します:

回転率:比較的明確に表れる相違点は、年間の平均回転率であり、これはポートフォリオを運用する際の債券の売却と購入により測定されます。当社グループの経験では、B&M戦略の年間回転率は通常25%未満であるのに対し、フル・アクティブ戦略では年に50%またはそれ以上になることが多々あります。回転率の低下は取引コストの低下につながり、トータル・リターンへの負担を軽減することに役立つと見ています。

もちろん投資アイデアを刷新し、変化する市況に適応するためには、アクティブ運用のどのポートフォリオでも債券の売買は不可欠と思われます。投資家にとって、B&M戦略と従来のアクティブ戦略の間にある差異は、回転率の高さの他に、ポートフォリオの再調整は将来の長期的テーマに向けてなのか、または短期的な収益機会に向けてなのか、という点にあると考えています。


投資の時間枠:投資期間としての時間枠の違いは回転率よりも大きいと見ています。というのも、回転率は、単に投資哲学や各戦略のプロセスの結果であることが多いからです。B&M戦略は通常、長期的な投資時間枠を設けています。短期的な戦術ではなく、市場サイクル全体を通して比較的良好なパフォーマンスを上げると判断できる債券の保有を目指します。

B&M戦略では、投資する債券を選択する場合、投資プロセス全体を通して、短期的な相対的価値や需給要因よりも、クレジット・ファンダメンタルズを重視します。B&M戦略はこの長期的な焦点を理由に、通常ベンチマークへの依存度が小さく、月々のパフォーマンスにはあまり重点を置かず、代わりに長期的に比較的良好なパフォーマンスを目指します。したがって回転率が低いのは、投資期間の決定要因というより、時間枠の結果であると見ています。


顧客の成果: B&M戦略と他のアクティブ戦略の間では、顧客である投資家が求める成果もまた違います — B&M戦略が(常にそうとは限りませんが)下振れリスクの軽減に焦点を当てる傾向があるのに対し、他のアクティブ戦略は達成するべき具体的なパフォーマンス目標があることがよくあります。

B&M戦略ではリターンの予測可能性が比較的高いという性質から、多くの投資家がこれを債券ポートフォリオ内の安定した中核の保有として使用しています。投資家は同時に、クレジット・ボラティリティをベータとアルファに効果的に分割しながら、伝統的なアクティブ戦略をサテライト的な「アルファの生成」の手段として使用していると思われます。しかし、一方で、フル・アクティブ戦略も多くが、投資家のポートフォリオで中核的な役割を果たすことができることも、ここに追記します。

この比較的安定した性質はまた、キャッシュ・フローに重点を置く投資家の多くがB&Mのスタイルを選ぶ理由にもなっています。さらに、多くの投資家が、B&M戦略の長期的投資時間枠によって有意義な責任投資の成果を達成できると信じているものと、思われます。また、債券の発行体企業との継続的な関係性は、数年にわたり信頼できる脱炭素化目標の設定および実行など、前向きなエンゲージメントの成果をもたらすのに役立つ可能性があると考えています。


回転率の低いB&M債券戦略でアクティブな姿勢を保つ

B&M戦略とパッシブ社債戦略の間には、比較的大きな違いがあり、この違いは、アクティブ投資プロセス、ポートフォリオの再形成、顧客との積極的なコミュニケーションに分割できます。

アクティブ運用の最も重要な局面のひとつは、投資プロセス中に実行される証券の選択とポートフォリオの構築です。このプロセスはフル・アクティブ戦略とB&M戦略の間で類似しており、違いは上述の時間枠の長さおよびファンダメンタルズへの焦点です。

適切に測定され的を絞ったリスクの取り方は、リスク調整後のリターンの向上や利回りとスプレッドの拡大など、B&M戦略が目的とするリターン目標の達成に役立つと見ています。ポートフォリオを強化し、将来のシナリオに備えて最適化することは、アクティブ運用の最も重要な観点であると考えています。

このアクティブな投資プロセスには、発行体に関するクレジット・アナリストの評価や、中央銀行の政策、ポートフォリオに固有のリスクに関するマクロ経済および投資分析チームの見解を考慮に入れた、リスクと収益機会の継続的なモニタリングも含まれます。

リスクと収益機会のアクティブなモニタリングは最終的に、ポートフォリオ運用チームに向けて、適切と思えるようにポートフォリオを再形成するための情報を与えるものであり、このアクティブなアプローチが伝統的なパッシブ運用と区別するものであると思われます。


自然なキャッシュフローとアクティブな回転を利用する

投資のプロセスがアクティブなポジションを取るのに必要な情報を提供する一方で、自然なキャッシュフローとアクティブな売買は、運用機関のポートフォリオ・マネージャーが顧客である投資家のポートフォリオを再調整するために使用できる手段であると考えられます。以下にその方法を説明します:

債券の満期:債券ポートフォリオは、債券クーポン収入および満期時の償還金による自然な現金収入の恩恵を受けます。当社グループB&M戦略のグローバル債券ポートフォリオでは、この自然な収入は年に5~10%になる可能性があり、この金額は、新規発行市場のプレミアムを活用し、費用対効果の高いと思われる魅力的なセクター、通貨または発行体に振り分けるのに十分な金額であると思われます。投資対象債券の異なる満期をアクティブに配分することによって、定期的で自然な収入源を提供し、キャッシュ・フローにばらつきが発生するリスクの回避に役立つために、こうしたアクティブな配分は効率的でアクティブな債券ポートフォリオ運用にとって重要な要素と考えられます。


顧客による資金フロー:顧客である投資家によるポートフォリオへの、またはポートフォリオからの資金の出し入れも、リスクの取り方を再調整したり、利回りを向上させ、また、責任投資の目標がある場合にはそれを達成するために活用できます。市場の利回りやスプレッドが歴史的水準に比べて大きくなっている場合や市場全体にばらつきが見られる場合、投資家がB&Mのポートフォリオを補充することを選択する意味が強まるものと思われます。

投資家が戦略的配分を変更したり、担保を過剰に積み上げようとしたりする場合、資金の流出規模が大幅になる可能性があり(その時点のポートフォリオ残高の25%以上)、結果として新たな収益機会の獲得に影響を及ぼす可能性があると思われます。最近の例では、新型コロナウイルス危機(米ドル建て債券が他の債券よりも安かった時期)や、ポンド建ての債券価格が下落した時期のライアビリティ・ドリブン投資(LDI、債務主導投資)をめぐる英国の危機などがあります。1

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アクティブな回転:アクティブ戦略は、市場全体で新たな機会を絶えず模索しています。回転率は、慎重に検討された適度な水準である場合、発行体の財務的な存続可能性や責任投資に関する懸念が原因であったり、単に利回りとスプレッドの関係によりポートフォリオの潜在的な将来のリターンを改善することが原因であるという可能性が考えられます。

と言っても、当社グループでは、投資家としての顧客に一貫した持続可能なリターンを達成することを犠牲にして、単に極限的なリターンとスプレッドを絞り出すための債券売買は行わない方針です。当社グループは投資家のポートフォリオ全体の中で、どの部分がB&M戦略に適しているか、全体像を把握することに努めています。当社グループは、B&M戦略において投資するすべての債券を満期まで保有する意図をもって投資しています。しかし上述したように、これが当てはまらない場合もあります。


結論

B&M社債戦略によるアクティブなモニタリングとポートフォリオ運用は、長期的なトレンドを見越し、絶え間なく変わる市況に適応するためのポートフォリオ管理など、投資家に多くの長所をもたらす可能性があると考えています。投資の成果は、B&Mとフル・アクティブ戦略との間で異なり、B&Mではリターンの予測可能性とクレジット・ファンダメンタルズを重視しています。

B&M戦略は通常、自然なキャッシュ・フローと顧客によるフローという観点に加えて、戦略の長期的な焦点を理由に回転率が低くなる傾向がありますが、この穏やかな回転率が、リスクの取り方を再調整し、ESG目標を達成する機会を提供するものであると考えています。

顧客である投資家との積極的なコミュニケーションもまた、投資の上で魅力的な市場機会を強調することを通して、顧客により良い成果をもたらす役割を果たします。

B&M戦略は全般に、複数の目標のバランスを取り、従来のパッシブ運用に想定される欠点を回避し、比較的安定的な長期的リターンの達成を目指す上で役立つ可能性のある必要な手段を投資家に提供できると考えています。


 (オリジナル記事は1月25日に掲載されました。こちらをご覧ください。)

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