小型株アクティブ運用戦略に投資機会:なぜ2024年は小型株が巻き返す好機と考えられるか?
主なポイント:
- 小型株は、ここ数年間の低調なパフォーマンスを経て、反発の兆しが出ている
- 小型株のバリュエーションは大型株に比べて魅力度が高い傾向にある
- 金融引き締め策の終了は小型株運用戦略にとって追い風になると見ている
積極的な金融引き締め策を受けて、小型株は株式市場全体と比べてパフォーマンスが出にくい状態となりましたが、その後マクロ経済が好転するにつれて、小型株に再び脚光が当たる可能性が出てきており、小型株運用戦略にとって良好な環境にあると考えています。
小型株(時価総額が 50 億ユーロ未満)は、大型株と比較した場合、一般的にリスクが高い一方でより高いリターンを生み出す可能性があると見られています。しかし、2022年と2023年は、小型株の典型的な成長特性によってしっかりとした業績を出したにもかかわらず、金利の急激な上昇により、パフォーマンスは大型株よりも劣るものでした。
グローバルでみると、小型株指数(MSCI ACWI小型株指数)のトータルリターンは昨年1年間で17%のプラスになり、一方、大型株指数(MSCI ACWI大型株指数)は24%のプラスでした。しかし、過去の実績が将来の結果を示すものではありませんが、2008年末から2023年末までの15年間の結果では、小型株指数の累積リターンは521%の一方、大型株指数は466%であり、指数では小型株が大型株を上回りました。1
加えて、小型株指数のボラティリティ(変動性)は大型株指数よりもかなり大きいと思われることもありますが、当社グループの考えは異なります。図表1のように、長期的に見ればその差は比較的小さいことが分かります。
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(図表1) 小型株と大型株のボラティリティ
出所: FactSet、2023年12月31日現在。過去の実績は将来の結果を示すものではありません。グラフは例示目的にすぎません。
さらに、シャープレシオ(リスク調整のリターンを測る指標の一つ、大きいほど効率よくリターンが得られたことを示す)は、2000年末から2023年末までの期間でみると、小型株指数では0.44、大型株指数では0.35であり、小型株が大型株を上回っていました。2
ここで、マクロ環境の変化を踏まえ、当社グループでは、なぜ小型株が2024年に投資家にとって潜在的な価値があると考えるのか、その理由を以下に概括します。
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低下に向かう金利と改善傾向のバリュエーション
市場のコンセンサスでは、政策金利はピークに達したと思われ、市場は今年2024年に主要経済圏で利下げが始まることを織り込んでいると考えられます。この状況は、小型株にはプラスに働くと見ています。
金利上昇は、小型株にとって困難な環境を生み出す可能性があります。例えば、投資家のリスク嗜好が減退し、金利政策の影響を受けにくいといわれる資産を選好する動きが強まると考えられます。また、資本コストが上昇すると、小型株の企業では資金調達のコストが上昇し調達が難しくなります。
しかし、各主要中央銀行のインフレ対策が広く効果を示しているために、全般的に市場の期待では、米連邦準備制度理事会(FRB)と欧州中央銀行(ECB)はともに6月に緩和を開始しますが、ECBはFRBの後に続く形になると見ています。
利下げが始まり経済見通しが広く改善に向かえば、リスク嗜好が再び強まり始め、小型株への投資資金の流入が増えてくると当社グループでは見ています。
小型株が大型株よりも現時点で優位と考えられる点は、通常はバリュエーションが大型株よりも高いプレミアム状態で取引されていますが、現状はほぼ同水準にあって投資の魅力度が高まっていると思われることです。昨年12月に株式市場は力強く上昇しましたが、例えば、欧州市場での小型株の大型株に対するプレミアムは昨年9月の0.6%から12月末には2.4%に上昇したにも関わらず依然として歴史的に低水準にあります。3
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比較的優れた業績成長の可能性
小型株の企業は、多くの場合非常に革新的であり、対応が難しいと思われる要求や新しい機会に立ち向かう際に、機敏に業務運営を行い、ビジネスモデルを適応していける傾向があります。また、小型株の企業は、技術革新を生み出す巣箱とみなされ、こうした技術革新はクリーン・エネルギーに移行する動きの中で世の中に表れてきており、小型企業は太陽光発電や他のクリーン技術から成長の恩恵を受けていると見ています。
利益成長– 小型株と大型株との比較
出所: AXA IM、MSCI。2023年12月29日現在
新たな機会
小型株は近年では投資家の投資対象から外れていたかもしれません。しかし、金利引き締めサイクルが転換点に近づきつつあると思われます。この状況は、小型株分野の潜在的に優れた利益成長の見通しを考えると、小型株のバリュエーションが大型株と比較して歴史的にも低水準にある現状とともに、投資家にとって魅力的な組み合わせになる可能性があります。しかし、小型株がマクロ経済の変化に敏感であるとすれば、小型株運用戦略は重要な戦略であると見ています。また、買収や合併の動きが活発になれば、さらに小型株アクティブ運用戦略の魅力度が上昇するきっかけになると思われます。
過去の実績は将来の結果を示すものではありません。
(オリジナル記事は2月6日に掲載されました。こちらをご覧ください。)
本資料で使用している指数について
MSCIワールド指数、ACWI指数、欧州指数:MSCI社が公表している、それぞれ、先進国の株式市場の値動きを示す指数、先進国と新興国の株式市場の値動きを示す指数、欧州の株式市場の値動きを示す指数であり、時価総額加重平均型指数です。
※本資料中の指数等の著作権、知的財産権、その他一切の権利はその発行者に帰属します。
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