ダボスからの報告
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スイスのダボスで開催された世界経済フォーラムでは、海外投資家に対する中国の売り込みは、サプライチェーン分散化への強い関心に直面した
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同フォーラムにおいて、経済見通しに関する一般的な楽観論は、さらなる金融引き締めの今後のコストを過小評価している可能性がある
ダボス会議では、2023 年の景気後退を回避する可能性について、概して悲観的なエコノミストと、楽観的な見方の企業のコントラストが非常に明白でした。このギャップは、現在進行中の金融引き締めが、マクロ経済の強靭性を背景にこれまでのところ大きなインパクトを与えていないことと関係している可能性があります。さらに、中国の経済活動再開が世界の需要見通しを大幅に後押しすると見られることもあり、そして、コモディティ価格上昇を通じたインフレのインパクトは、直ちには浮上しないと予想されていることもあります。 なお、今回の世界経済フォーラムで印象的だったのは、2022年には欠席していた中国当局者が、民間部門のさらなる強化と財産権保護に対する中国政府のコミットメントについて海外投資家を安心させようと努力した点でした。しかし問題は、この取り組みが遅すぎたのではということです。 実際、サプライチェーンの分散化(「中国以外」の意味です)をテーマにしたセッションが多かったのが印象的でした。
今回、米国の「政府部門」の存在は目立たず、大統領、副大統領、国務長官のいずれもスイスのアルプスには来ませんでした。 これは、米国政府の静かな自信の表れかもしれません。インフレ抑制法(IRA) に象徴される産業政策に対する米国の新たな関心には、ダボスで賞賛の声が上がっていました。 米議会が機能不全に陥ったとはいえ、米国がエンゲージメントを必要とする PR はそれほど多くありませんでした。それに比べ、欧州は統一戦線を示すことができませんでした。 週末に行われた独仏首脳会談によって、さらなる行動を開始できるかを確認する必要があります。
ダボスでは、中央銀行関係者が注目を集めました。会議の当初は、未確認ではあるものの ハト派発言的なノイズもありましたが、次第にタカ派的な発言が目立つようになり、本来のポイントに戻りました。 つまり、金融引き締めは終わっていないということです。なお、当社は金融状況インデックスを更新しました。FRBが早期に引き締めを停止するには、名目金利が据え置かれてもインフレ率が低下する中で実質金利が上昇を続け、「自発的」な需要減衰をもたらすと中央銀行が主張できるようになる必要があります。リスクフリーの期待実質金利がすでに低下しているという事実は、その助けにはなりません。
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