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サステナビリティ
インフラとエネルギー移行:電子や分子の移動問題
主なポイント
エネルギー移行は大規模な取り組みです。大規模な経済的・社会的変化が必要となり、適正なインフラが適正なペースで開発されなければ達成することはできません
重要な課題は、脱炭素電力の輸送と配電です。電力網、貯蔵メカニズム、接続ポイントはすでに重要でありますが、今後さらに重要になっていくと見ています
炭素回収・貯留が大規模に開発されれば、輸送と貯蔵のインフラが必要となります
石油精製所、製鉄所、肥料工場で使用される水素は、輸送の限られた近隣での製造が主流となりますが、その利用が長距離輸送、航空輸送、大型トラック輸送にまで広がれば、相応な大規模な輸送・流通インフラが必要になります
電力網に対して必要となる巨額の投資のその規模と実行の確実性は、投資家に透明性と先行きの安心感につながります
水素の回収・貯蔵については、既存企業がシェア獲得に有利である一方、二酸化炭素については個々の案件ごとに成長の可能性があると、当社グループは考えます
ネットゼロへの移行は、単にエネルギー供給源を切り替えたり、消費習慣を多少調整することで達成できるものではなく、はるかに複雑なものであると考えます。そのためには、需要と供給の両面で、行動や心理を大きく切り替えるとともに、経済エコシステムの全面的な変革が必要であると見ています。
移行が成功することは、排出量がネットゼロに達することを意味します。それは、大気中の温室効果ガスの濃度が上昇しなくなる瞬間です。これを達成するのはたやすいことではなく、2023年に二酸化炭素(CO₂) 排出量が過去最高を記録したように、この道のりはまだ始まっていません。1
排出削減の速度が将来の気温上昇を左右します。速く削減できるほど、将来の気温上昇幅は小さくなります。気候変動に関する政府間パネル(IPCC)から国際エネルギー機関(IEA)および国連環境計画(UNEP)まで、多くの報告書が、世界の気温が産業革命以前の水準より2.5℃以上上昇しつつあると結論づけています。これは、地球温暖化を「産業革命以前の水準より2℃をはるかに下回る上昇水準」に抑えるために、世界全体の温室効果ガス排出量を大幅に削減するというパリ協定の目標をはるかに上回るものです。2
すべての移行は同じ技術手段に依存していますが、その活用の仕方や組み合わせは異なります。この技術手段のうち、電気、二酸化炭素、水素が大きな役割を果たすと見ていますが、いずれも生産者と消費者をつなぐ専用のインフラを必要とします。
本稿では、社会の電化、炭素回収、水素経済の実現に必要なインフラと、それが投資家にとって何を意味するかについて論じます。
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