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ロボテック戦略月次レター:組入銘柄の業績は概ね良好、約75%が市場予想を上回る


ロボテック戦略月次レター(2023年8月の振り返り)

組入銘柄の業績は概ね良好、約75%が市場予想を上回る

エヌビディア、データセンター部門好調で過去最高益

8月のグローバル株式市場(MSCIオールカントリー・ワールド指数(MSCI ACWI)、米ドルベース)は、マクロ経済の不透明感が投資家心理に影響したことから下落し、年初からの上昇幅は幾分縮小しました。当戦略は半導体やヘルステック関連銘柄の一部が軟調なパフォーマンスとなったため、市場全体を下回るパフォーマンスとなりました。

企業業績は概ね良好で、戦略の組入銘柄の約75%が市場予想を上回りました。これは市場全体(MSCI ACWIの構成銘柄)の52%を上回る結果でした(出所:ブルームバーグ)。しかしながら、強弱入り混じる産業活動や中国経済の弱さなどを反映して、慎重な業績見通しを示す企業もありました。8月末に発表された中国の製造業PMI(購買担当者景気指数)は改善の兆しを示しましたが、本格的な回復に向けて楽観視するには更に裏付けとなるデータを見る必要があります。

エヌビディアは、AIなどを支えるGPUへの極めて強い需要に牽引され、データセンター部門が特に好調で、直近四半期に過去最高の利益および売上を記録しました。

株高続くエヌビディア、2024年の収益見通しはコンセンサス予想で約3倍に

当月は、半導体企業のエヌビディアが好決算(2023年5~7月期)を発表し、株価が上昇しプラス寄与となりました。同社は、生成AI(人工知能)や大規模言語モデル(LLM)といった技術の支えとなる画像処理半導体(GPU)への極めて強い需要に牽引されデータセンター部門が特に好調で、過去最高の利益及び売上を記録しました。同社の株価は年初来で230%超上昇しているものの、2024年の収益見通しはコンセンサス予想で約3倍に達しており、バリュエーションの支えとなっています。受注の大幅増加に対応するため同社の製造委託先で生産能力を拡大できるかどうかに投資家は関心を寄せており、同時にこうした需要が持続可能かどうかについても議論されています。

半導体セクターの他の保有銘柄は、株価が堅調な時期が続いた後、当月は多くが軟調なパフォーマンスとなりました。これは企業のファンダメンタルズよりも、むしろマクロ経済への懸念に起因していると見られます。

中国には先行き不透明感、米国など主要国の経済指標は底堅く推移

中国ではゼロコロナ政策解除後の景気回復が力強さに欠け、政府は景気刺激策を積極的に打ち出していますが、他国が中国などから自国へ生産を回帰させようと補助金を増額させていることなどから先行きには不透明感があります。しかし、主要国では引き続きインフレ圧力が低下基調にある一方で経済指標は米国を中心に底堅く推移していることから、近くリセッションに陥るリスクは後退しています。

ポートフォリオの動向

当月は、建設・エンジニアリング向け設計自動化ソフトウェアのオートデスクは堅調なパフォーマンスとなりました。マクロ経済に対する懸念にも関わらず、同社のサブスクリプション・モデルによる底堅い売上と着実な事業運営によって良好な決算を発表したことが好感されました。

ヘルステック関連銘柄は、好調な業績にも関わらず軟調なパフォーマンスとなりました。投資家はGLP-1受容体作動薬(主としてイーライリリーやノボノルディスクなどの医薬品メーカーが手掛ける肥満症治療薬)への関心を高めており、この治療薬が一般的に使われるようになったときに他の病気の治療や施術に与える影響が懸念されセンチメントが悪化しました。

手術支援ロボット大手のインテュイティブ・サージカルについては、肥満治療薬によって人々が減量に成功すると同社が手掛ける肥満治療手術の件数が減ったり、肥満症患者が投薬治療を優先して手術を後回しにするなどの影響が懸念されました。しかし、肥満治療手術は同社の年間施術件数の2-3%に過ぎず、運用チームでは影響は限定的であると考えています。同社の決算発表において、年間施術件数が前年比20-22%増へと上方修正されたことからもわかる通り、肥満治療施術件数が減速したとしても非常に高い成長性を誇っていることは特筆すべきです。

肥満治療薬関連の影響が他でも見られ、同薬の普及によって将来的に糖尿病患者が減り、デクスコムのような血糖値モニタリング機器を手掛ける企業にとってはアクセス可能な市場が減るのではないかとの見方がされました。運用チームでは近い将来においてこのような影響は軽微であり、引き続き持続血糖値モニタリング機器は大幅な成長を享受できると考えています。

ロボテック戦略月次レター:組入銘柄の業績は概ね良好、約75%が市場予想を上回る
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