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ロボテック戦略月次レター:半導体関連銘柄が回復


ロボテック戦略月次レター(2022年7月の振り返り)

半導体関連銘柄が回復

<<不透明な市場環境続くも、米半導体補助金法やEV購入促進策など政策の後押しが自動化需要を加速へ>>

グローバル株式市場(MSCI ACWI、米ドルベース)は年前半に大きく下落した後、7月は反発し大幅上昇となりました。エネルギー価格高騰やより広範な物価上昇に対する懸念が消費マインドを冷やし、消費関連セクターなどでは消費低迷の兆しが日増しに明らかになってきていますが、当戦略は市場全体を大きく上回るパフォーマンスとなりました。当月は、前月軟調なパフォーマンスとなった半導体関連銘柄が回復した他、ハードウェア関連銘柄も堅調なパフォーマンスとなり、プラス寄与となりました。なお、当戦略で注目している半導体関連銘柄は、最先端ロボットや自動化システムの「頭脳」となる半導体、各種センサー、ビジョンシステムに携わっている企業であり、一般消費者などを対象とするPCやスマートフォン向け半導体のメーカーではありません。

当月も引き続き地政学リスク、金利動向、インフレ、エネルギー価格高騰などが市場のセンチメントや企業業績に影響を及ぼしました。エネルギー価格高騰により可処分所得が減り、個人消費の低迷とともに景気が減速する懸念が引き続き強まっています。米連邦制度準備理事会(FRB)はインフレ抑制のため7月終わりに前月に続いて0.75%の大幅利上げを実施しました。

各国で物価上昇が続いていますが、それでも幾分インフレ鎮静化の兆しが見られました。米国の6月の食品・エネルギーを除くコア消費者物価指数は前年同月比5.9%と3カ月連続で低下し、また、米国2年物物価連動国債利回りから割り出される期待インフレ率を見ると、中期的なインフレ率は抑制されつつあることを示しています。2年物物価連動国債利回り(実質金利)から2年物国債利回り(名目金利)を差し引いて計算される2年先の期待インフレ率は、3月には4.9%でしたが、7月末には3.2%まで低下しました。

米半導体補助金法が成立、EV普及促進へ税額控除も導入へ

なお、7月には米上下両院が、半導体の生産および研究開発に527億ドル(約7兆円)の補助金を出す法案を可決し、8月上旬にはバイデン大統領が署名し、成立しました。半導体補助金法は、米国内への半導体工場誘致の補助金として390億ドルを投じる予定です。米国内で最新鋭の工場建設を予定している台湾の半導体受託製造大手TSMCや米インテル、韓国サムスン電子に補助金が交付される見通しです。米国内の労働コストの上昇が続いているため、先端の半導体工場建設は、米国内におけるロボット・自動化需要を拡大するとみられます。

米国ではまた、最近発表されたインフレ抑制法案の目玉の一つが気候変動関連の歳出増で、電気自動車(EV)や再生可能エネルギーの普及促進策が盛り込まれています。8月上旬に上院で可決された同法案では、中低所得者のEV購入に対して大幅な税額控除を実施する予定で、当戦略で注目しているEVやバッテリー関連の大規模な設備投資の加速が見込まれます。

米国ではEV普及促進に向け、EV購入に対して大幅な税額控除の実施が予定されています。

ポートフォリオの動向

半導体関連銘柄の中では、オン・セミコンダクター、NXPセミコンダクターズ、クアルコムなどが好調でした。TSMCは決算発表で高性能コンピューター、5G、車載用事業における強い需要を反映して通期ガイダンスを上方修正しました。一方、ローエンドモデルのPCやスマートフォン用の半導体など消費に直結する分野向けの半導体は全般的に需要に懸念があります。当戦略ではこれらの分野には多く投資しておらず、需要が引き続き高水準にある分野に注力しています。

日本のキーエンスも堅調なパフォーマンスとなりプラス寄与となりました。製造業における品質管理や検品に用いられるセンサーやビジョンシステムを手掛ける同社は、欧州および米国で最高売上を記録するなど好決算を発表し、景気減速の影響に対する懸念を払拭しました。

ソフトウェア企業の中では、電子設計自動化企業のケイデンス・デザイン・システムズが堅調な業績を発表しプラス寄与となりました。同社は半導体企業の研究開発に欠かせない存在であり、これまでも景気が下向きの局面において底堅い業績を示してきました。

ロボテック戦略月次レター:半導体関連銘柄が回復
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