ロボテック戦略月次レター:ヘルスケアや情報技術関連銘柄の上昇が大きく貢献
ロボテック戦略月次レター(2023年6月の振り返り)
ヘルスケアや情報技術関連銘柄の上昇が大きく貢献
組入企業の経営陣、受注や今後の業績で前向きな見通しを維持
6月のグローバル株式市場(MSCI ACWI、米ドルベース)は上昇し、年初からの上昇幅を拡大しました。米国債務上限問題の解決、銀行経営危機の収束、米国の利上げ停止(あるいは一時停止)、底堅い経済指標、良好な4-6月期企業決算などの好材料が相まって、6月の株式市場を押し上げました。
当戦略はヘルスケアや情報技術セクターの組入銘柄が牽引し、市場全体を上回るパフォーマンスとなりました。
サプライチェーンの改善で業績の不透明感払しょくへ
6月は次の決算発表シーズンが始まるまでの閑散期に当たり、例年多くの投資家向けカンファレンスやイベントが開催されます。当戦略の運用チームも複数のカンファレンスに参加し、組入企業の経営陣に会い、プレゼンテーションを聞く機会に恵まれました。それらを要約すると、多くの企業が高水準の受注を享受し、サプライチェーン問題の改善を背景に業績の不透明感が払しょくされるなど、総じて前向きな見通しを維持していることが確認できました。
引き続きインフレや金利の見通しについては注視する必要がありますが、堅調な業績や米経済が年内に景気後退に陥る可能性が後退したことなどからグロース銘柄に対するセンチメントは改善しました。労働市場では、労働者が現在の職を維持する、または新しい職を探すことが容易にできる環境にあり、こうした状況は景気を支える重要な要素であることに変わりはなく、より広範な経済において見通しが改善しています。
先日発表された6月の米雇用統計によれば、非農業部門雇用者数は前月比で20万9,000人増となり、市場予想の約24万人を下回りましたが、それでも高い新規雇用水準が続いています。また、平均時給は前月比0.4%増、前年同月比4.4%増となり、堅調な伸びが続いていて、依然として逼迫した労働環境にあります。労働力不足と賃金インフレが、引き続き自動化需要を押し上げています。
ポートフォリオの動向
当月は半導体、手術支援ロボット、ソフトウェアなどに関連する分野の銘柄が堅調なパフォーマンスとなりプラス寄与となりました。中でも、マイクロチップ、シリコン・ラボラトリーズなどの半導体関連銘柄、インテュイティブ・サージカル、デクスコム、コンメドなどのヘルスケア関連銘柄がプラス寄与となりました。
資本財や産業関連分野では、サプライチェーン問題の逆風が弱まるにつれ、業績の回復が期待できる分野です。引き続きこれらの分野の銘柄を選別的に買い増していく方針です。
ヘルスケア関連分野では、施術件数の増加、医療スタッフの人手不足解消、サプライチェーン問題の緩和などが支えとなっています。同分野の回復は2023年後半を通じて持続すると考えています。手術支援ロボット大手のインテュイティブ・サージカルは、こういった追い風を大きく受けており、市場では、同社の4~6月期決算および今後のガイダンスに注目しています。
半導体関連分野では、生成AI(人工知能)に直接的なエクスポージャーを持つ組入銘柄が堅調なパフォーマンスを続けています。当戦略の運用においても重要な焦点となっており、株価が大幅に上昇すれば利益を確定し、関連する分野で新たな収益機会が見い出されれば組入を増やすなどの対応をしています。
なお、当月はコーニット・デジタルの買い増しを行いました。同社はアパレル業界向けのデジタル・プリンターを提供するイスラエル企業です。同社はコロナ禍におけるEコマースの隆盛に恩恵を受けましたが、その後はこの時期に導入した生産能力の消化で厳しい状況にありました。経営陣の最近の発言から、主要顧客企業における稼働率が回復しつつあり、また大規模見本市で発表された新製品への関心も高いことが明らかになりました。当戦略における組み入れはまだ少ないものの、回復の兆しを注視し、組入を増やす方針です。
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