ロボテック戦略月次レター:ヘルスケア関連銘柄に強さ
ロボテック戦略月次レター(2022年9月の振り返り)
ヘルスケア関連銘柄に強さ
軟調な株式市場の中、景気の影響を受けにくい医療テック企業が底堅い値動き
9月のグローバル株式市場(MSCI ACWI、米ドルベース)は大幅な下落となり、主要市場は軒並み6月につけた年初来安値を下回る水準で月を終えました。当月のロボテック戦略も、市場全体と同様に下落しました。エネルギー価格の上昇や幅広い物価上昇による消費減退への懸念などマクロ経済環境が、市場センチメントを引き続き支配しました。米連邦準備制度理事会(FRB)は、6月、7月に続いて3回連続で0.75%の大幅利上げを実施しました。
経済情勢は困難な状況にあるものの、労働市場は引き続き逼迫しており、高水準の求人件数が続いています。景気減速とともに労働市場の需給は幾分緩和される可能性があるものの、企業は依然として適切な人材を容易に獲得できない、あるいは労働コストが一段と上昇するといった問題に直面しています。これらの問題は自動化によって軽減が可能となることから、今後も自動化の需要を押し上げる要因になると考えています。
難しい経済情勢の中、2022年10-12月期および2023年の企業収益見通しは低下傾向にあります。まもなく四半期決算発表が始まることから、7-9月期の業績および10-12月期の見通しを注視しています。
強靭な資本構造を有する企業、低成長環境下でも力強い成長を維持へ
全般的に困難な局面が続いていますが、当戦略のポートフォリオ企業の大半(約75%)は利益をあげており、利益率も高く、優秀な経営陣により運営されています。当戦略のこれまでの実績が示す通り、負債が少なく強靭な資本構造を有する企業は、低成長環境になったとしても力強い成長を継続し、それが中長期に株価に反映されると考えています。
なお、ヘルスケア関連銘柄は相対的に堅調なパフォーマンスとなりました。デクスコム(糖尿病患者向け血糖値自動モニタリング機器)、アクソニクス(仙骨神経刺激装置)、グローバス・メディカル(脊椎手術用ロボット)などがプラス寄与となりました。医療テック企業は景気の影響を受けにくいと見られていることから、これらの銘柄は景気減速懸念で株式市場が軟調となる局面において底堅い値動きを示しました。
ポートフォリオの動向
当月は幅広い分野で軟調なパフォーマンスとなり、厳しい月となりました。中でも物流自動化関連銘柄は苦戦しました。ドイツの倉庫自動化ソリューションのKIONグループは投入コストの上昇を価格に十分転嫁できないこと、一部顧客の計画中止により注文キャンセルがあったことなどが利益に影響すると発表しました。ただ、当社ではこれは一時的なイベントとみています。半導体関連銘柄も全般的にマイナス寄与となりました。グローバル経済の減速に加え、米国が人工知能向け半導体の中国への輸出規制強化を図っているとの報道を受けての懸念などが影響しました。
電気自動車(EV)メーカー、テスラの買い増しも行いました。短期的には四半期生産・納品台数はサプライチェーン問題や中国のロックダウンの影響を受けると見られますが、同社の完全自動運転技術は着実に進歩を遂げており、ベルリン、上海、オースティン工場の稼働によって低コストでの生産が可能とし、事業の拡大や利益率の改善を支えると期待しています。なお、同社の7-9月期のEVの世界販売台数は、前年同期比42%増の約34万台となり、過去最多を更新しました。
8月にフランスのシュナイダーエレクトリックは約60%の株式を保有する英国のソフトウェア企業アヴィバ・グループの完全買収を検討していることを明らかにしました。9月にシュナイダーから正式発表され、買収観測が出る前の株価から約40%のプレミアムとなりました。この株価上昇を受けて、アヴィバ・グループを全額売却しました。
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