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トータルリターンがユーロ社債市場の解明にどのように役立つか


ユーロIG & HYクレジット・ヘッドのブテーナ・デクソンヌが、フランスのメディアQuantalysのインタビューを通じて、この環境下でアクティブなトータルリターン・アプローチが収益機会を見出す可能性について説明しています。


利上げ後の市場環境をどのように見ていますか?

2022年に、欧米では中央銀行が利上げを始めましたが、その時市場は、利上げは比較的穏やかで緩やかなものになると予想していました。しかし実際には、中央銀行は2022年に急速にかつ積極的に利上げを行いました。

つまり、2022年はユーロ社債市場のリターンについて非常に複雑な年でしたが、今日(インタビュー時)では相対的に魅力的な水準のリターンの機会が得られていると思います。たとえば、投資適格債券IG)市場は4%に近い利回りを提供し、ハイイールド債券(HY)市場は約6%の利回りを提供しています1 。これらの発行体のファンダメンタルズは非常に堅固で回復力があるにもかかわらず、このような利回り水準は10年以上見られなかった高さです。

クレジット・スプレッドやクレジット・プレミアムを見ると、状況は少し異なります。というのも、ここ1年ほどの間に、これらのクレジット・スプレッドは大きく縮小しているからです。HY市場のほぼ半数が500ベーシスポイント(bp)から250bpに、IG市場では約130bpから75bpになりました。

だからこそ、アクサIMグループでは、最良の機会を探す際にはアクティブで確信に基づいた運用が重要だと考えています。そのため、投資すべき時期かどうかを判断できるしっかりとしたプロセスを確立することを目指しています。これにより、次のような点を問うていくことができます。

  • 今はリスクを増やす時期か、リスクを減らす時期か
  • オーバーウェートにしたいセクターは何か、アンダーウェイトにしたいセクターは何か
  • 各セクターの中で相対的な価値を考慮して、投資にふさわしいと思われる銘柄は何か、投資すべきではない銘柄は何か

今後数か月でこの市場を混乱させたり改善したりする可能性のある要因は何でしょうか。

中央銀行とその金融政策は、明らかに今後数か月で市場に影響を与える可能性がある要因として考えています。しかし、選挙もあります。2024年は英国、米国、欧州など、いくつかの国で選挙が行われる年です。そのため、市場に多少のボラティリティが加わる可能性があります。成長期待を持ちづらい景気サイクルに入ると予想しており、それが景気敏感セクターに影響を及ぼす可能性があります。そのため、投資機会を活用し、損失を軽減するために、機敏で柔軟な投資運用アプローチをとることが重要だと考えています。

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発行市場に焦点を当てると、それは社債市場の温度計のようなものだと思います。私たちの今の立ち位置はどこでしょうか。発行市場はまだ活発でしょうか? 

非常に強い市場と見ています。2023年には、金融および金融以外の発行体で約6,000億ユーロの発行があり、市場参加者によってすべて吸収されました。この傾向は2024年も続いています。現在、発行額は約3,500億ユーロです。これは、ユーロ信用市場においてすべてのセクターにわたり大きな金額になっています。昨年やや敬遠された不動産セクターを含んでいますが、不動産セクターの発行体はこのインタビュー時現在、すべての優先順位で発行することができています。

優先債(弁済順位が高い債券)、劣後債(弁済順位が優先債よりも低い債券)、永久債(償還期限がない債券)、AT1債(株式と債券の中間の性質を持った証券のひとつ)などいずれにおいても、市場は非常に活発と見ています。また、欧州市場の活況を背景に、同市場に米国の発行体も多数参入しています。したがって、市場は非常に活発で健全であり、うまく機能しているため、流動性条件は極めて良好であると思います。しかし、柔軟性を持ち、企業を分析するということは、すべての企業に投資するわけではないことを意味します。スプレッドの水準や利回りの水準を念頭に置いて投資することに前向きな債券もあれば、注意が必要な債券もあります。選択的であることが重要だと考えています。

社債市場におけるトータルリターン債券戦略について話すとき、何がパフォーマンスの原動力と考えますか?

アクサIMグループではトータルリターン戦略を運用していますが、当戦略にはここ数四半期および数か月で資金流入が増えています。この戦略は、簡素で標準的なアプローチを採用しながら、投資家に柔軟性、多様化、流動性を提供することを目指しています。たとえば、ファンド・オブ・ファンズ、証券化資産、非常に複雑な証券等には投資しません。

デュレーションは、主要なパフォーマンスの原動力の 1 つです。-2年から+6年の範囲で、運用チームは確信度に応じてデュレーションを調整できる柔軟性を持っています。

パフォーマンス の原動力の2 つ目は、投資適格とハイイールドの間で配分する能力です。ポートフォリオ全体の平均では投資適格でなければなりませんが、ハイイールドへの配分を最大 50% まで増やすことができます。これにより、投資適格戦略のままで魅力的な利回りを追求できると考えています。また、デュレーションを管理するために先物など​​のデリバティブを使用し、またクレジット・ベータを調整するためにクレジット・デリバティブを使用することがあります。

最後に、短期デュレーション戦略を見てみましょう。長い間、これは必ずしも興味深いものではありませんでしたが、なぜ現在では興味深い戦略なのでしょうか?

投資家の中には、バーベル戦略、つまり、柔軟性のあるトータルリターン戦略と非常にディフェンシブな戦略に興味を持つ投資家もいると思います。4年前なら、短期デュレーションについて話すことはなかったでしょう。しかし今日、利回り曲線の逆転(短期部分が長期部分よりも利回りが高い状態)や金利の正常化により、クレジットカーブ(信用力曲線)の短期部分でのリターンは長期デュレーションとほぼ同等ですが、ボラティリティはほぼ半分になります。したがって、今日こうした市場は、全く新しい状態にあります。

従って、この異常状態を利用して、この短期デュレーションの部分に投資できるようになっているということでしょうか?

まさにその通りです。その点では、興味深い信用環境の中で、流通市場は依然として流動性が高い為、発行市場よりも流通市場からより多くの利益を得られるものと考えています。


出所: アクサIM、Quantalys。2024年6月現在

過去の実績は将来の成果を保証するものではありません。

記載している指数について
※ICE BofA Euro Corporate Index: ICEデータ・インデックス社が公表している欧州投資適格社債の値動きを示す指数です。
※ICE BofA Euro High Yield Index: ICEデータ・インデックス社が公表している欧ハイイールドの値動きを示す指数です。
※本資料中の指数等の著作権、知的財産権、その他一切の権利はその発行者に帰属します。

(オリジナル記事は7月9に掲載されました。こちらをご覧ください。)

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