
グローバル・ファクター展望:米国政策の不確実性により、クオリティと低ボラティリティに対する見通しが改善
- 2025年3月18日 (7 分で読めます)
主なポイント
トランプ米大統領がホワイトハウスに復帰して2ヵ月足らずですが、すでに数多くの政策や大統領令発表によって市場を圧倒しています。同氏の型破りでしばしば急速に変わる姿勢は、市場ボラティリティの著しい増大をもたらし、世界的経済成長およびインフレ見通しの不確実性がはるかに高まりました。
米国の貿易と移民に対する政策(供給抑制策)および減税計画(需要刺激策)の組み合わせは、米国内と国外の双方でインフレ上昇リスクを生んでいると、アクサIMは見ています。現在(執筆時)の市場はもはや金利の大きな変化を織り込んでおらず、このためアクサIMダッシュボードのファクター指標グループ分けの内、金利は目下(執筆時)ニュートラルとなっています。
アクサIMでは2025年の世界経済に対し、依然として堅調な3%成長を見込んでいますが、全米供給管理協会(ISM)の新規受注指数の鈍化1 (1月の55.1に対して2月は48.6)は、経済の勢いが減速していることを示している可能性があります。アクサIMのマクロ指標はこの指数の水準およびその変化率に基づいていることから、新規受注の減少はアクサIMダッシュボードのファクター指標グループ分けの内、マクロが減速局面に移行したことを意味します。
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株式ファクターの展望
マクロ経済の現状および金利の背景を鑑みて、アクサIMではグローバルファクター・ダッシュボードを以下の通り更新しました。
アクサ IM エクイティ ファクター・ダッシュボード:2025年3月
出所:アクサ IM、2025年3月現在。ISMマクロ経済局面:減速、VIX(ボラティリティ指数):高、金利:ニュートラル。 アクサ IM ファクター・ダッシュボードの方法論の詳細(日本語)はこちらをご参照ください。
3月にはバリューがアクサIMのダッシュボードで最上位のファクターとなった一方、グロースはマクロ経済とバリュエーションのスコアがマイナスであったことから、最下位に落ちました。低ボラティリティは、市場リスクの上昇、バリュエーションの向上、アクサIMスコアカードのマクロ面の減速局面への変化等から恩恵を受け、四半期前から最も大きく改善したファクターです。
株式市場のファクターに対するアクサIMの展望を下記に詳述します。
バリュー:ポジティブ
バリュー株式のテクニカル(需給)指標は支援材料となっており、混雑(人気が出て過度に取引が集中していること)や過剰なボラティリティの兆候は見られません。資産の本来価値よりも低い価格で取引されているように見える銘柄であるバリュー株式は本質的に割安ですが、そのバリュエーションの差は歴史的に見て平均的な水準と比べて大きくなっています。これは現在、歴史的にみれば将来のアウトパフォーマンスに向けてポジティブな水準にあります。2024年10~12月期と比べてバリュー株式に有利となる最も重要な変化は、金利の方向性に対する市場予想が、利下げから据え置きへと変化したことです。
クオリティ(質):ポジティブ
収益成長が相対的に安定しており、株価の変動が相対的に小さい銘柄であるクオリティ株式は、マクロ経済のセンチメントが景気循環の減速局面にあるときに優れたパフォーマンスを上げる傾向にあります。同ファクターのバリュエーションは歴史的に見て、将来のパフォーマンスを支援する水準にあります。他のすべてのファクターと同様に、市場が金融政策に目立った変化がないと予想していることから、クオリティ株は金利面でニュートラルのスコアを得ました。クオリティ株式投資戦略は、変化する経済状況をよりうまく捉えることができる予測の質に重点を置いた戦略であるため、現状の局面においてクオリティ株式投資戦略は相対的に有効な戦略と思われます。
低ボラティリティ:ニュートラル
10~12月期と比べてアクサIMのダッシュボードでスコアが最も向上したのが低ボラティリティ株式でした。このファクターは、ボラティリティ指数(VIX)の上昇が表す市場全体のリスク上昇および、アクサIMスコアカードのマクロ面の減速への変化から恩恵を受けています。最近は低ボラティリティ株式への着目度が低下しているため、バリュエーション、特に将来に向けた益利回りは支援的な水準です。目下、テクニカル面で低ボラティリティ株式に対する警戒信号はありません。
モメンタム(勢い):ニュートラル
過去12カ月間で市場と比較して価格変動が大きかった銘柄であるモメンタム株式は、2024年の大半の期間で(2024年7~9月期を明らかな例外として)アクサIMダッシュボードの最上位にあったファクターでした。相対的に株価の高いモメンタム株式は2024年に優れたパフォーマンスを上げましたが、これは好調な企業業績に下支えされた動きであり、バリュエーションは相対的には安価でないながらも妥当な水準を維持してきました。しかし、モメンタム株式の総合スコアは、マクロ経済の勢いの鈍化により、10~12月期と比べて低下しています。最後に、高モメンタム株式(混雑度の高い銘柄)の間ではパフォーマンスのばらつきが依然として相対的に小さい水準にあることが観察されていますが、この状況は、従来はモメンタム株式に対する警戒信号となっていました。
グロース(成長):ネガティブ
グロース株式はマクロ経済およびバリュエーションのスコアがネガティブであったため、アクサIMのファクターランキングで最下位になりました。グロース株式は通常、マクロ経済状況が現在見られるような景気循環の減速局面にあるとき、パフォーマンスが低下します。グロース株式はさらに、ファクターとして相対的に高水準にあります。通常は市場よりもプレミアムが付いた価格で取引されるのですが、現在のバリュエーションは、過去と比較するとパフォーマンスが停滞する時期の到来を告げる水準にあります。最後に、グロース株式は、金利見通しがこのファクターにとって支援的からニュートラルに移行したため、10~12月期に比べてスコアカード上のランキングが相対的に低下しました。構造的テーマに支えられた高品質の銘柄に重点を置いた、グロース株式アクティブ投資戦略が相対的に有効と見ています。
過去の実績は将来の成果を保証するものではありません。
(オリジナル記事は3月7日に掲載されました。こちらをご覧ください。)
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