
2025年は短期債券戦略が良好な投資機会になる可能性:その理由を考える
- 2025年4月25日 (5 分で読めます)
主なポイント
投資家の間では、数年前から短期債券市場への関心が高まっています。 それには3つの理由があるとアクサ・インベストメント・マネージャーズ・グループ(以下、アクサIMといいます)は考えています。
1:キャッシュからの資金移動
中央銀行による利下げの結果、キャッシュも利回りが低下しています。短期債券市場ではキャッシュよりも高いリターンを得られる見込みがあり、ボラティリティが低く、流動性も相対的に高いため、投資家にとって相対的に良好な選択肢になりうると見ています。
2:リスク調整後リターン
2022年に債券市場が大きく売り込まれて以降、多くの投資家は長期債券戦略のポートフォリオ見直しを進めています。その代わりとして投資家が注目しているのが短期債券戦略です。短期債券市場はその特性から、市場の変動が相対的に大きい場合のセイフヘイヴン(安全な避難場所)になる可能性があると見ています。これに加えて、イールドカーブ(利回り曲線)が比較的フラット(平坦、短期と長期の利回り差が比較的小さい状態)であるため、リスク調整後リターンと相対的に低いリスク属性という内在する組み合わせが、長期債券市場と比較した場合における短期債券市場の投資機会になっていると考えます。
3:アルファ(超過利益)を実現するための柔軟性
短期債券戦略はポートフォリオに落とし込む方法が数多くあり、そのおかげでアルファを実現することが可能になっています。セクターであれ、地域や資産クラスであれ、投資家のニーズを満たすために利用できる選択肢が多数存在します。
アクサIMには25年以上に及ぶ短期債券戦略の運用経験があり、債券市場のリスク領域全体にわたる幅広い戦略を提供しています。短期債券戦略は全てが同じということはなく、上に示した3つのポイント以外にも、投資家が様々な目標に取り組む際にも効果を発揮すると見ています。こうした目標と、そこで考えられる投資手法については、後ほど詳しく見ていきます。
2025年に短期債券戦略が良好な投資機会になる理由
投資家にとって、市場状況は大変厳しいものになっています。その主な原因は、トランプ政権の経済政策と、同政権が導入しようとしている関税がインフレや成長に与えうる影響への懸念にあります。短期債券戦略は、ポートフォリオの幅広い構成要素の中でディフェンシブ(景気や市場の動向に左右されにくい)な手段として利用することが可能であることから、現在(執筆時)の状況に適しています。
この理由としてはじめに挙げられるのは、インフレ率が中央銀行の目標に再び近づくにつれて、金利が低下し始めていることです。ただし、これには地域によって違いがあると見ています。米国連邦準備制度理事会(FRB)は現在のところ、トランプ政権の政策による経済への影響が更に明確になるまで様子を見るとしています。とはいえ、市場は引き続き利下げを予想しており、その場合は、短期債券戦略のパフォーマンスにとって有利になると見ています。
米国と比較すると、欧州では欧州中央銀行(ECB)はより積極的であり、現在は金利とインフレ率が同水準のため実質金利がほぼゼロになっています。短期的には、ECBが関税への対応として利下げを行うと、アクサIMは予想しています。これも債券市場にとっては追い風になるはずです。同様に英国でも一層の利下げが予想され、これも債券市場のトータルリターンの動向には有利に働くと見ています。
投資機会を求めて債券市場全体を見渡した場合、特に目立つのは、イールドカーブが比較的フラットだという点だと思います。つまり、短期債券市場と長期債券市場の利回り差が歴史的に見て極めて小さいということです。多くの場合、長期債券市場の方が金利感応度が高いため、ボラティリティ(変動)が大きくなります。現状では長期債券市場と短期債券市場の利回りに差が以前よりも縮小しているため、ボラティリティの小さい短期債券市場の投資機会が増していると見ています。より高い利回りを求める場合は、ハイイールド債券や新興国債券など、相対的に利回りの高い資産クラスの短期債券市場を利用することができると見ています。
短期債券市場にも中央銀行の金利政策が反映される傾向があると見ています。中央銀行は通常、今後の政策方針を示すガイダンスを公表しており、そのおかげでショックが軽減されています。ガイダンスによってその後の動向の見通しを立てやすくなり、利回りの安定化が図れると考えられます。しかし、イールドカーブの長期部分では影響する要因が短期部分よりも多いため、長期債券市場にはこれが当てはまりづらいと見ています。つまり期間の長い債券市場ほど、トータルリターンのボラティリティが大きくなると考えられます。
したがって、中央銀行が市場予想にない行動を起こさない限り、2025年は短期債券市場が投資家にとって相対的に良好な投資機会になると、アクサIMは予想しています。
目標を実現するための投資アプローチ
分散:アンコンストレインド(制約のない)グローバル短期債券戦略
短期債券戦略の配分にグローバルアプローチを採用する場合に重要になるのは、様々なセクター、地域、資産クラスに機動的な投資を行える柔軟性を確保することだと、アクサIMは考えています。 アクサIMのアンコンストレインド・グローバル短期債券戦略では、そうした柔軟性を活用して債券市場全体から最適なアイデアを採用しています。 これにより先進国市場から新興国市場まで、また様々な資産クラスや信用格付けの間で、幅広い分散投資を実現しています。
柔軟性のあるアプローチによって、投資家の分散投資が可能になるだけでなく、アクサIMにおいても市場の変化に対する戦術的な対応が可能になると、アクサIMは考えています。その一例として、2022年に行ったポンド建て投資適格市場への投資拡大があります。相対的に小規模な市場ですが、現地の専門的知見を活用すれば、機会を見つけ出すことが可能です。英国政府の「ミニ予算」(英国の春季予算)を受けて英国債券利回りが上昇し、クレジットスプレッド(債券の発行体の信用度の差による利回り差)が拡大した時点で、アクサIMは相対的に良好なバリュエーション(投資尺度)を利用する好機とみて、投資を拡大しました。
こうした理由から、グローバル短期債券戦略においては世界的全体から最適な機会を活用できるようにするため、アクティブな資産配分アプローチが重要になるとアクサIMは考えています。
キャッシュからの資金移動/市場の成長:ユーロ建て短期債券戦略
ユーロ建ての投資適格債券市場やハイイールド債券市場は、スプレッドが縮小しているものの、その利回りは歴史的に見て依然良好な水準にあると思います。したがって、ユーロ建て短期債券戦略を利用すれば、投資家は低いボラティリティで歴史的に見て良好な利回りで投資を行うことができると見ています。
キャッシュからのシフトを考えている投資家の場合、ユーロ建て投資適格短期債券戦略がよりディフェンシブな選択肢になると考えます。ユーロ建て投資適格債券市場は全体では相対的に大きな規模があり、短期投資家は安定した流動性と十分な分散投資を確保できると見ています。
成長を求める長期投資家の場合、ユーロ建てハイイールド短期債券戦略に検討の価値があると見ています。ユーロ建てハイイールド短期債券戦略を採用すれば、ボラティリティの抑制を図りつつ、ユーロ建てハイイールド債券市場全体のトータルリターンのうち相当部分を捕捉できると考えています。
いずれのアプローチにおいても、厳格な売却手順など確固とした投資の枠組みを持つことが、ユーロ建て短期債券市場全体の機会を上手に利用する鍵になると、アクサIM考えています。
過去の実績は将来の成果を保証するものではありません。
(オリジナル記事は4月7日に掲載されました。こちらをご覧ください。)
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