ロボテック戦略：ロボット工学の活用で進む建設業界の効率化

投資家にとって重要なのは、デジタル・トランスフォーメーションの受け入れと加速は、これらの能力が出始めた頃の実験的なものから飛躍的に発展を進め、具体的な日常業務に統合されてきているということです。そしてそれは、思いもよらないビジネス分野でも起きているのです² 。

その良い事例が建設業であり、この誰もが知るグローバルな巨大産業が、いかにロボット工学や自動化により根本的かつ継続的な改善がもたらされる可能性があるのかを示しています。建設は、私たちに建物や家屋など住まいを提供してくれるだけでなく、道路、交通、インフラ、そして社会の継続的な機能に必要な多くの重要なシステムも提供しています。従来、建設プロジェクトは予算を超過することや納期を逃すことが多々あり、また、世界の廃棄物の約3分の1を生み出しており、結果的に世界の二酸化炭素排出量の40%以上を占めています³ 。世界経済フォーラムは、世界の建設業界の必要な変革がなされていないとことをほぼ10年前から言及し続けています⁴ 。

世界の人口増加、資源不足、そして価格上昇が進むにつれて、建設のような資源を大量に消費する産業において効率性を高めることは、地球環境だけでなく企業収益の面からも、ますます緊急性を増していくと見ています。この点における例として、米国のソフトウェア企業プロコア・テクノロジーズは、より安全で効率的かつ持続可能な未来に貢献することが期待されます。同社では、自動化機械やシステムを提供することでパフォーマンスを改善し、建設作業やワークフローに関連する新たな可能性を創出することを使命としています⁵ 。同社は、手動操作で行われる作業の効率性、安全性と廃棄物排出量を既存の技術の活用によって改善できる多くの機会を特定しています。例えば、現場のデータ収集、測量および敷地配置図の作成にドローンを活用することで自動設計や高速計算が可能となり、また人的ミスを削減することができます。同社はさらに、据え付けや品質管理機能を果たす使い捨て型のロボット群も提供しています。これらにより、精度の向上と一貫性が得られ、人間の労働力をより複雑で創造的な（そして多くの場合、より危険の少ない）作業のために解放できるという二重の利点があると見ています。

この変革における重要な企業の例としてもう一社、アメリカのソフトウェア企業トリンブルを取り上げます。トリンブルは、伝統的に非効率さに悩まされてきた産業に対して自動化とデジタル精度（デジタル技術によって達成される高い精度と正確さ）をもたらすことを目指しています。同社は、もともとはGPS技術で知られていましたが、現在は建設、農業、輸送のワークフローを最適化するソフトウェアとハードウェアのソリューションを提供しています。建設においては、現場の位置決めを自動化し、機械を制御するトリンブルの技術は精度を向上し廃棄物の量を削減します。同社のソリューションはAIとセンサーとコネクティビティ（接続のしやすさ）を統合してリアルタイムの意思決定を改善し、プロジェクトが予算とスケジュール通りに進むよう支援します。より「スマート」な運営を可能にすることで、トリンブルは複数の産業にわたり持続可能性と収益性の向上に重要な役割を果たしていると見ています。

こうした多様性と応用範囲の拡大は、ロボット工学の成長可能性の主要な推進力の一つです。世界の建設関連ロボティクス市場は、急速な成長と広範な採用により、2032年までに7億7500万ドルの規模に成長すると予測されています⁶ 。 

これらのような企業は、ロボット技術そのものに興味を持つ投資家や、ロボット技術の長期的な成長可能性を適切に多様な形で捉えようとする投資家にとって示されるダイナミックは成長機会の一部に過ぎないと考えています。

企業への参照は例証のみを目的としており、個別銘柄への投資を推奨するものではありません。