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グリーンボンド、ソーシャルボンド、サステナビリティボンド Q&A:グリーンボンドの詳細を探る


サステナブルボンド(グリーンボンド、ソーシャルボンド、サステナビリティボンドの総称)は、債券ポートフォリオへのインパクト投資の代名詞となっている、成長中のアセットクラスです。このアセットクラスへの関心が高まり続けており、背後にあるニュアンスを理解する必要も高まっています。

ここでは、グリーンボンドについて当社がよく聞かれる質問のいくつかを紹介します。

1. グリーンボンドには炭素排出量対策以外の役割がありますか?

グリーンボンドは、単に企業や政府がネットゼロ炭素排出量目標を達成するための支援ツールだと思われるかもしれません。しかしグリーンボンドは、それより遥かに広義の環境問題に向けて利用されています。グリーンボンドのグローバル・ユニバースはスマートビルディング、低炭素輸送、持続可能な生態系、スマートエネルギーインフラ4つの主要なテーマに分けられると当社は見ています。

どのテーマも単独では機能せず、それぞれが炭素排出量削減に向けて役割をもちますが、テーマが示すように、グリーンボンドは炭素排出量を超えた持続可能な経済への道のりの一端と見るべきです。持続可能な生態系内のサブテーマに注目することで、これら個別の優先課題とカーボン・フットプリントとの関連が明らかになります。

水の質と量は普遍的な関心事で、居住地にかかわらず、すべての個人に影響を及ぼします。  水ストレス(水に関する質、量、 アクセスの組み合わせ)は国際連合の持続可能な開発目標(SDGs)の焦点であり、農業や繊維産業などリスクの高いセクターの企業は、その対処にいっそう取り組むべき課題です。水ストレスは低炭素経済に直接結び付いてはいないかもしれませんが、一部のセクターにおける水の過剰使用や野放しの汚染問題は生態系に影響を与え、このため炭素のネットゼロをどれだけ実現できるかに影響を与えます。

廃棄物

食品から電子機器に至るまで、世界で人口増加は、エネルギー、食糧、水などの需要を増大させ、天然資源を圧迫しています。たとえば、電子機器廃棄物は欧州連合(EU)で最も急速に増加している廃棄物のひとつであり、現在リサイクルされているのは全体の40%未満です。1 廃棄物の削減を通して、希少資源をどのように保全するかという問題に取り組むことは、それ自体が課題であると同時に、低炭素経済の実現というより広範な課題に連結した問題でもあります。

2. グリーンボンドは生物多様性にどのようにプラスの影響を与えていますか?

グリーンボンドが生物多様性の損失に対応している一方で、2022年12月に開催された国連生物多様性条約第15回締約国会議(COP15)で合意された新たな協議「昆明-モントリオール生物多様性枠組(GBF)」は、自然保護の緊急ニーズを明確にするのに役立っています。  企業が、生物多様性の損失が事業運営にマイナスの影響を与える可能性を認識するにつれ、グリーンボンドは自然によりポジティブな成果を達成するためのソリューションのひとつとなっています。たとえば、ニュージーランドのグリーンボンドについて考えることができます。これは同国を低炭素開発に向けて推進するよう意図したもので、最近強化された「国が決定する貢献(NDC)」で具体化されました。さらに、生物多様性の保全については、ニュージーランド政府は2020年、5カ年実行計画がサポートする30年戦略の方向性を設定した生物多様性戦略を公開しました。最新の実行計画は2022年4月に発表しています。具体的には、以下に焦点を当てています。

  • 生物資源、天然資源、土地利用:持続可能な農業、林業、土地回復、自然ベースのソリューション。これは、畜産が温室効果ガス総排出量のおよそ50%を占めることから、とりわけ関連性があります。2
  • 陸上および水界の生態系:淡水生態系の保護、原産の植物を含む自然環境の復元、そして海洋生物種の保護。

投資家もまた、ポートフォリオへの潜在的リスクが顕在化するにつれて、生物多様性のテーマで企業と関与する必要について認識を高めています。GBFの目標は国や企業が進むべき方向の指針を示しており、企業との対話の一助になりますす。特に企業が会計・報告の面でGBFの標準化目標を採用するにつれ、自社の生物多様性フットプリントに関して開示すべき事項が増えるでしょう。

しかしながら、良質のデータが不足していることが障害になっています。データは地域に限定される傾向があり比較が難しく、さらに、調査が完了し有用なデータが提供されるまでに時間がかかります。それでも規制の強化は、データ提供においてプラスの発展のきっかけを作りました。

3. グリーンボンドで変動の激しい市場を乗り切るには?

投資家にとって、グリーンボンドは責任投資の範疇に入るだけであることが多いですが、インパクトを超えてより幅広いアロケーションの選択肢を投資家に提供するものでもあります。グリーンボンドの大半が政府または企業の投資適格債であり、先進国および新興国の一部で広く発行されています。このことからポートフォリオにおいては、グローバル・アグリゲート・アロケーション(世界的に分散された配分)の代替または補完として位置付けられる可能性があります。

グリーンボンドはちょうど他の債券アセットクラスと同様に、様々な投資スタイルで投資することができます。ボラティリティの高い時期にデュレーションを管理し、様々なクレジットの質や地域を越えて動かせる柔軟性をもつことは、優れた投資機会を探すのに役立ちます。  グリーンボンドは今日、柔軟なアプローチを投資家に提供しています。ハイイールド債や新興国債に投資するダイナミックなアプローチは、リスク選好度の高い投資家向けに限られるかもしれませんが、デュレーションカーブ全体で投資できる能力は、短期デュレーション債を通して金利リスクを削減したい投資家にとって、有用なツールとなる可能性があります。このことは、ユニバースの特徴および現在の逆イールド(長短金利の逆転)により、投資家は必ずしも利回りを放棄することなくデュレーション・プロファイルを短縮しながら、グリーンボンドのメリットを維持できることを意味します。 

グリーンボンドの発行の増加により、投資家は、グローバル・アグリゲートの代替または補完として、あるいはポートフォリオ内で様々なスタイルやリスク特性を反映するものとして、アセットクラスへの配分でより大きな幅を持てるようになります。

(企業およびセクターへの参照は例証のみを目的としており、投資の推奨と見なされるものではありません。)

(オリジナル記事は6月7日に掲載されました。こちらをご覧ください。)

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