AIの進歩とひっ迫した労働市場を背景に躍進するロボット工学および自動化部門
キーポイント:
- 技術革新と労働力不足の組み合わせが、ロボット工学と自動化技術の成長の推進力となっている
- この技術の背後にある半導体メーカーに、当社は潜在的な投資機会を見ている
- 様々な部門の企業も自動化の恩恵を受けており、長期的な投資のポテンシャルを高めている
より高い効率性、安全性、精度を求めてロボット工学を活用する企業の数が伸び続けていることから、人工知能(AI)の顕著な進歩とひっ迫した状態が続く労働市場により、自動化技術の利用が増加を続けています。
国際ロボット連盟(IFR)によると、この背景を受けて2022年には、世界中の工場で553,052台という記録的な数の産業用ロボットが導入されましたが、これは2021年の合計台数の5%増になります。連盟によると、市場は2023年~2026年にかけて年平均7%成長すると予想されています。1
自動車産業は世界中の工場で使用されるロボット総数のおよそ3分の1を占め、当然ながら自動化の長い歴史があります。2
1世紀以上前になる1913年、フォード・モーター・カンパニーが自動化の初期の形となる生産組立ラインを導入した一方で、1960年代初期にはゼネラルモーターズが溶接用ロボットの使用を始めました。3
今日では大半の自動車メーカーが車両生産のほぼ各段階で自動化を進めていて、明らかに電気自動車用バッテリーの製造が新たに自動化技術の大きな市場となっています。また、AIの活用には驚異的な発展があり、電気自動車だけでなく、燃料使用の最適化やリアルタイムでのナビゲーション、メンテナンス問題の運転者への警告、さらには自動運転までが可能な自動車の開発にAIが活用されています。4
コストが下がり、効率、品質、安全性が高まる可能性があります。コネクティッド・ファクトリーまたはスマート工場では、データを収集・評価し、変化する需要に製造者が迅速に対応できるように支援し、また、何らか問題が発生しそれが大きな混乱を引き起こす前に、その問題を検出しながら、製造工程を最適化することができます。
変化する人口動態と消費者行動
ロボット工学が提供する能力は従来の産業や製造業をはるかに超えて発展し、その他の多くの業種が自動化技術の力を活用しています。医療ではロボット手術により、医師は複雑な治療を高い精度と制御をもって行うことができる一方、AIは事務作業を自動化し、個々の患者に合わせた処方に役立ち、また医薬品の開発で役割を担うことができます。5
これは効率の向上および患者治療の改善、精度の向上を通したリスクの軽減、そして医療提供者にとってコスト削減につながる可能性があります。変化する人口動態もまたこれに一役買っています。なぜなら高齢者の比率が大きくなると、政府が患者の治療について、より安価で効率の高い方法を見い出す必要があるからです。
新型コロナウイルスによるパンデミックは電子商取引の成長を飛躍させました。というのも、多くの小売業者や流通業者が注文処理の規模を拡大する必要に迫られ、ますます自動化技術に頼るようになったのです。アマゾンから食料品チェーンのオカドまで、企業は注文管理、ピッキング、仕分け、梱包などに倉庫ロボットを活用しています 。 そして、この市場の規模は2023年の129億ドルから2028年には250億ドル近くにほぼ倍増すると見られています。6
自動化の中核にある半導体チップメーカー
あらゆる部門に及ぶこれらの新たな機会を推進しているのが、ソフトウェア企業、半導体メーカー、そしてセンサーやビジョンシステムを含む、その他のロボット工学および自動化などの構成機器の生産会社です。これらの企業はますます複雑になる機器に向けて半導体チップや部品を提供するために革新と規模の拡大を行っており、過去には想像できなかったような課題や機会に取り組んでいます。マッキンゼーによると、世界の半導体市場は2021年に6,000億ドルの売上を記録しましたが、2030年までに1兆ドル産業に成長すると見られています。7
チップの設計を手がけるエヌビディアは今年、株価が急騰8 しました。同社は、8月には特定のAIタスクに合わせてハードウェアを調整するなど、機械学習を次のレベルに引き上げる可能性があるという進歩について大枠を発表しました。9 他の半導体開発会社 AMD もこの分野における主要企業であり、生成AI用のチップの生産を拡大する計画を立てています。10
チップはますます複雑になる必要があるため、AIにおける進歩は半導体の設計および生産面での改良を促進しています。半導体産業は同時に、半導体設計などの分野にAI自体を取り入れて統合しており、チップの設計者はAIソリューションによって更に迅速に新しいチップを設計および試験できるようになり、この部門における技術革新と効率の双方を促進しています。
政府の政策が導入を促進
政府の政策もまた、半導体部門全体の成長を促進しています。米国の「CHIPS法」は半導体の設計および国内の半導体生産の周囲に重点を置き、米国の技術革新に520億ドルを投じるものです。11 米国政府は9月、マイクロエレクトロニクス(微小電子工学産業)に向けた8つの地域での技術革新拠点の設立に2億3,800万ドルの助成金が交付されたことを発表しましたが、これはCHIPS法の下ではこれまでで最大の奨励金です。12
さらに、同じく2022年8月に発動したインフレ抑制法(IRA)の導入により、主要技術に焦点を置き、米国国内の製造業に更に支出が割り当てられます。13 調査によれば、これらの法案の可決以来、企業は米国の半導体およびクリーン・テクノロジー製品に2,000億超ドルを投入する計画を表明していますが、これは2021年のほぼ2倍に当たります。14
米国はチップ設計業界の最先端を行く一方で、現在半導体製造では世界の12%を占めるに過ぎず、その多く約75%は東アジアで生産されています。15
一方で製造業全体では、米国の機械製品はこれまでで最も古いもののひとつです。2022年のデータによると、製造業の資本ストックの平均年齢は11年であり、これと比較して過去数十年間では平均年齢が8年であった16 ことから、更新の時期が来ていることを示唆しています。
他方で「欧州Chips法」が9月に発効し、世界の半導体生産に占める欧州連合の割合を現在の10%からこの10年間で少なくとも20%に拡大することを目指しています。17 同法の下でのプロジェクトのひとつに、世界のチップ製造業界を席巻しているアジアの台湾積体電路製造(TSMC)と欧州のメーカーグループとの合弁事業があり、ドイツにおいて先端の半導体を生産することを目的としています。18
根本的な下支え
マッキンゼーによると、世界中の事業会社が、ロジスティックス(物流システム)企業やフルフィルメント(通信販売や電子商取引において、受注から配送までの業務の一連のプロセス全体)企業に主導されて、ロボット工学および自動化技術に多額の投資を行うと予想しています。19 しかし分析によると、導入する企業側では、うまく導入できるか、その成否が懸念事項になっています。その為に、最も成功度の高いロボット工学および自動化技術を提供する企業は、事業会社である顧客が課題を克服する上で支援できる企業であることを示しています。
一方で、世界経済フォーラムの「仕事の未来2023年レポート」の中で調査対象となった企業のうち、5分の1の企業で解雇が起きると考えられていますが、一方で、半数以上の企業では新しい技術の導入が雇用の成長を促すと見られています。20 多くの企業は労働者の代替としてではなく、人間がロボットと並んで、または、共に仕事をする協働ロボット、いわゆる「コボット」を導入しています。
変化する消費者と企業の需要、そして新たな政府の政策と投資という支援が組み合わさることは、ロボット工学および自動化部門にとって可能性が大きく広がることを意味します。テクノロジーへの需要がより複雑になるにつれ、こうしたニーズの変化に遅れを取らないよう革新を行う半導体企業に潜在的な投資機会があると、当社は見ています。変化する人口動態とひっ迫した労働市場もまた、ロボット工学および自動化を加速させる要因です。
一方で運輸や医療のように、AIの利点を活用する最前線にある部門は、ロボット工学および自動化の利用がさらに普及するにつれて、これからも引き続き恩恵を受けていくものと思われます。
ロボット工学および自動化の分野は著しい成長市場であり、その拡大のポテンシャルという面だけでなく、それが表している長期的な投資機会という面で、成長はまだまだ最初の段階にあると、当社は考えます。
企業への参照は例証のみを目的としており、投資の推奨と見なされるものではありません。
(オリジナル記事は10月23日に掲載されました。こちらをご覧ください。)
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