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成長のための生物多様性:移行によって成長する企業に注目

主なポイント
世界 GDP の50%以上が自然とその生態系サービスに依存すると分析されています。生物多様性の損失によって経済に5兆ドルの費用がかかる可能性があります1
投資家は生物多様性の喪失に伴う将来の経済的リスクについて認識を強めていますが、自然にやさしい経済への移行は数十年にわたる成長機会を提供すると見ています
アクサ IM の生物多様性株式戦略は、生物多様性へのプラスの影響を長期的な経済的利益の可能性と合致させる革新的な企業を投資対象としています

投資家は、生物多様性が重要であるとの認識を強めてきたと思います。生物多様性は、世界経済への脅威だけでなく、洪水、食糧不足、伝染病といった人類の存続への脅威に対しても、地球の回復力を高めると考えています。生物多様性の損失は重大な経済リスクをもたらすと思われます。つまり、材料コストが上昇して、事業活動やサプライチェーン(供給網)、生活の混乱へと繋がる可能性があります。

未来の世代がどの程度成長し繁栄できるかは、地球の自然資本の保全のために政府、企業、消費者がどれだけ協力するかにかかっていると見ています。これは、ソリューションプロバイダー(課題の解決を行い、または、支援する企業)に投資する機会をもつ長期的投資家にとっても、考慮するべき重要な点であると思います。自社の製品やサービス、また、事業慣行を通して生物多様性を保護し維持するために、規模拡大が可能なソリューション(解決策)を商業的に提供する主導的な企業を特定することが特に重要と思われます。

このアプローチは、地球の自然資本の未来を保全するために必要な規模および有意義なインパクトを達成する最も大きな可能性を有していると、アクサIMグループは考えます。一方、生物多様性への環境負荷が小さく、与えるインパクトが限定的な企業や、環境負荷を小さくし改善しつつある企業に資本を割り当てるアプローチは、企業に固有の、ないしは地域的なインパクトしか生み出さないため、それほど強力ではないと考えています。


生物多様性の機会

世界的な政策動向や、経済と気候変動における生物多様性の役割に対する認識の高まりにより、生物多様性の損失を2030年までにくい止め、2050年以降は生物多様性に差し引きでプラスの影響を与えようとする世界的な取り組みが推進されています。3  気候変動は生物多様性なしに対処できるものではないというのが、アクサIMグループの信条です。アクサIMグループだけではありません。世界各国の政府や規制当局が共通の目標に向かって取り組んでいます。この活動の一環で編成されたのが、一定規模以上の企業や組織にすでに遵守を求めている一連の開示要件「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」です。それに続く「自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)」は、生物多様性への影響の開示に関して、TCFDに類似した要件になると見られています。

より持続可能な経済への移行が革新と成長への多面的な原動力を生み出し、これが数十年にわたる成長機会の駆動力となっていると見ています。アクサ IMグループでは、自然を保全するためのソリューションを商業的に提供している健全なビジネスモデルをもつ革新的な企業が、生物多様性の移行により成長すると信じています。投資家は、生物多様性へのプラスの影響か、または、強力な金融的なリターンの可能性かのどちらかを選ぶ必要はありません。企業の財務的な持続可能性が、この両方の目標を支えると考えています。

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アクサIMグループのアプローチ

アクサIMグループの生物多様性株式戦略では、金融的リターン面と生物多様性へのプラスのインパクト面に同等の重要性を置きます。インパクト投資は責任投資が届かない所から始まります。責任投資は、環境や社会に損害となるような投資を避けるために、様々な基準を満たすことのできない企業や業種を除外することに焦点を当てています。インパクト投資は、損害を避ける以上のこと、つまり金融的リターンを上げながら、良いことを行う(環境や社会に良い影響を与える)ことを積極的に目指します。アクサIMグループでは、企業の財務的な持続可能性が両方の基盤となっていると考え、競争上の優位性、強固な財務状態、先見性のある経営陣、最先端の技術をそなえた革新的な企業を優先して投資対象とします。このアプローチでは、アクティブかつボトムアップ型の銘柄選択を通じて、収益性のある成長と魅力的なリターンの可能性をもちながら規模拡大が可能な製品やサービスを商業的に提供する質の高いソリューションプロバイダーを探求します。アクサ IMグループは資産運用力を大規模に活用して、一貫したエンゲージメントや徹底した KPI(主要業績評価指標)追跡、及び、透明性の高い報告に支えられた高品質でアクティブに分散投資を行うポートフォリオ運用に、高い信念をもって取り組んでいます。

インパクト投資の定義は、世界環境と社会問題に対処するために2015年に打ち立てられた国際連合の「持続可能な開発目標(SDG)」の世界的採択とともに拡大しており、投資を通じてプラスのインパクトを生むための様々な方法があります。アクサIMグループによる上場株式での生物多様性戦略は、インパクト投資として主に2つの方法を通じて、測定可能なプラスの影響を生み出すよう目指します。それらの方法は、まず、アクサ IM 独自のインパクト・フレームワーク(枠組み)に基き国連 SDG を目標とする戦略にプラスの貢献をしている上場企業に投資することと、次に、生物多様性戦略のインパクト目標に向かう進捗度をモニタリングできる長期的なエンゲージメントと報告活動を行うことの二つです。地域レベルで社会または環境にプラスとなるプロジェクトを生むことが多いプライベート(未上場)市場でのインパクト投資と比べて、上場株式は、世界レベルでプラスの変化を生むことのできるほどの規模拡大が可能でソリューション(解決策)を商業的に提供し、社会や経済を全体的に変革することが可能と考えています。

アクサIMグループは、上場企業に対するインパクト投資のベストプラクティス(最善の方法や事例)を定義しているグローバルインパクト投資ネットワーク(GIIN)のワーキンググループ諮問委員会の積極的な一員であったことから、アクサIMグループのインパクト投資の定義は、5つの主要な柱(意図、重大性、追加性、負の外部性、測定可能性)に基く GIIN の枠組みと整合することを目指しています。

GIIN は上場証券におけるインパクト投資の主導的な機関であり、投資家がインパクトを生み出すための4つの主要概念を定義しました:

  • 戦略:変化の理論(複雑な社会課題とその解決までの道筋や理論を表す考え方)に合致。問題を理解し、主要な投資テーマを設定し、求められるソリューション(解決策)を特定し、適切な KPI の選択および議決権行使やエンゲージメントを通して実世界の変化を起こさせること
  • ポートフォリオ設計&選択:定量的な国連 SDG スクリーニング、独自のインパクト・フレームワーク、財務分析に基き再現可能で一貫性があり、定量化可能な手法に従うこと
  • エンゲージメント:長期的なアクティブ・オーナーシップ(株主として権利を積極的に行使すること)やインパクトのテーマに結び付いた課題への関与を通して投資家の貢献をけん引し、透明性と KPI のある報告を提唱すること
  • パフォーマンス・データの使用:  企業レベルとポートフォリオレベルの双方で KPI を報告・モニタリングすることで変化の理論に沿って進捗度を測定すること

アクサIMグループの生物多様性株式戦略はインパクト投資として、生物多様性をリスク要因として捉えるのではなく、革新的な製品やサービスを通じて、また、程度はそれより低いものの営業活動を通して生物多様性の損失を緩和することのできる企業を特定する投資機会とみなします。アクサIMグループの投資アプローチは、生物多様性に関する移行により業績を伸ばす企業、つまり規模拡大が可能なソリューション(解決策)の提供により目標とする SDG にプラスの影響を起こし、強力な経済的利益を生み出す企業を特定するよう設計されています。
 


生物多様性の最大の課題

下記に、生物多様性への大きな脅威、および、プラスの影響の可能性と魅力的な長期的成長見通しを提供している主導的なソリューションプロバイダーの例を挙げます。

農業は森林破壊の原因の80%を占めており、居住可能な土地の50%4 を使用している一方、生産される食糧の3分の1が廃棄5 されています。 世界的に食料安全保障を求める動きは今後も続くことから、持続可能なソリューションの開発が最優先課題になっていますが、農業は伝統に深く根差すところが大きく、廃棄物を減らし効率を改善するためのイノベーションの採用が遅れていると思われます。精密農業は増大する食糧への需要を満たす一方で、農薬や水の使用を削減するための新たな持続可能な投資機会を提供します。このニーズに対処しようとしている企業の一例として、ジョン・ディア(John Deere & Co.)があります。この農業機械メーカーは独自の「See and Spray」技術を開発しました。作物の画像を撮りクラウド上で処理することで、正確に目標を定めて除草剤を散布することを可能にするものです。これにより、除草剤の使用を最大3分の2削減でき、生物多様性に対するプラスの影響および農業従事者に対する採算性向上の双方を実現します。最先端ソリューションの実現者としての技術の役割の重要性は、画像処理装置(GPU)の主導企業、エヌビディア(NVIDIA)が供給する半導体チップを見るとわかります。同社の高水準のチップはジョン・ディア社のビジョンシステムおよび画像を処理するデータセンターの双方に組み込まれています。

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人類は、自然が自ら再生できるよりもはるかに速い速度で自然を搾取しています。社会の現在の消費率は1年で地球1.8個分6 (欧州では2.8個分7 )の資源利用に相当します。これは生物多様性を侵害し、気候変動を深刻化させ、世界の不平等を悪化させる持続不可能な水準です。より多くの資源が再利用・リサイクルされる、より循環的な消費モデルに移行することが極めて重要であると考えています。新品のプラスチックが依然として主流である包装市場で特に、世界的な方向性としてプラスチックから持続可能な代替品へと急速に転換していくことが必要と考えます。リパブリック・サービシズ(Republic Services)は家庭および事業用廃棄物のリサイクルや廃棄物処理全体にわたる一連の総合的かつ持続可能なソリューションの提供だけでなく、環境ソリューション部門では環境に配慮した廃棄物処理、探査、生産イノベーションにも携わっています。8  同社は新たな技術を継続的に採用し、ラスベガスに最近開設したポリマー(高分子化合物)センターのように、新たな施設の導入により、すでに自社の浸透度が高い持続可能な廃棄物管理およびリサイクル業界で地盤の一層の強化を図っています。新施設では年間5万トンを超える高品質リサイクル・プラスチックの生産を見込んでいます。この市場への投入は、リパブリック・サービシズが食品・飲料メーカーから求められる厳格な包装品質要件を満たせるよう、ポリマーの専門加工会社との提携によって強化されます。米国におけるこの成長市場で同社の地位をさらに固めるため、2026年までに他に3拠点の開設を予定しています。9

ソフトウェアは中小企業の生産性や効率性を上げる可能性があり、起業家が支援を最も必要とする際に前に進むための後押しをするという社会的利益があります。その他の分野では、ソフトウェアは企業の総合的な持続可能性を改善する可能性があります。エンタープライズリソースプランニング(ERP、企業の様々な資源を総合的・横断的に情報管理し、経営の効率化を図る手法)向けソフトウェアの大手企業 SAPの持続可能性ソリューションは、企業が自社の環境パフォーマンスを改善し、循環型経済モデルに移行し、サプライチェーンにおける透明性を確保し、炭素排出量を正確に算出・報告し、持続可能な製品イノベーションを推進し、持続可能性データを自社プロセスに統合することで資源の利用効率を向上させる支援を行います。その一例が SAP の「インテリジェント農業」ソフトウェアであり、これにより農業関連企業は計画から収穫までの農業プロセスをデジタル化することで、収穫量と作業効率を向上し、農業の効率性を持続可能な方法で高めることができます。

地球上の水の大半が海水であり、淡水はわずか3%でしかありません。10  世界人口の増加と気候変動により、水不足と水不安が拡大しています。北米や欧州の一部先進国で、水関連の管理が十分でないために、関連するインフラの老朽化が進み、大量の淡水が継続的に損われています。たとえば、米国では毎年、淡水総供給量の15%に相当する2兆ガロンの飲料水が、漏水により失われていると推計されています。11  スマートメーターや分析などの革新的な水技術は、漏水を特定して水の損失を減らし、水システムの効率を高めることに役立ちます。資源効率を高め、リサイクルを簡易化し、循環経済の開発を促進する企業は、世界経済の中でより大きな純利益を生み出すと考えられます。

ザイレム(Xylem)は飲料用水の供給と利用、および産業規模での廃水処理に向けたソリューションの開発と維持を担う水技術プロバイダーです。その最大の売上は、廃水を回収、処理、分配するための水インフラから得られます。同社はまた、商業、住宅、産業の顧客向けに、高度な「スマート」水道メーターと分析とともに、水に関するソリューションとサービスを提供しています。研究開発に注力する同社の取り組みにより、効率性を高め、不十分な給水システムや詳細な測定機能の欠如による無駄な浪費を削減する洗練された方法を開発することが可能になりました。人口の増加と共に世界的な水への需要が上昇することから、2050年までに60億人近くが淡水不足に悩まされると推定されており、水の損失を最小限に抑える要求がさらに強まっています。12

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結論

今後数十年にわたり堅牢なファンダメンタルズと金融パフォーマンスの可能性に支えられた(さらに加速度的で補完的な技術進歩によって強化された)持続可能な長期的成長の組み合わせを求める投資家は、上場株式インパクト戦略への資本配分を考慮する時期ではないでしょうか。実証された遂行力をもつ優良企業とみなすことができ、世界の環境問題に対して規模拡大できるソリューションを商業的に提供する生物多様性の移行によって成長する企業を特定することにより、投資家は収益性のある成長と強力な経済的利益を長期的に達成できる企業を探し出すことができるでしょう。確かな実績と生物多様性の専門知見をもち経験豊かな資産運用者がアクティブに運用する戦略を選ぶことは、投資家が財務的目標、地球、そして世界経済の今後の存続にとってお互いに満足できる未来に向かう上で、役立つ可能性があると見ています。      

企業への参照は例証のみを目的としており、個別銘柄への投資を推奨するものではありません。

過去の実績は将来の成果を保証するものではありません。

(オリジナル記事は7月3日に掲載されました。こちらをご覧ください。)

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