水は責任ある成長機会のパイプライン
キーポイント
- 水ストレスおよび水不足は、世界中で数十億人が直面している問題である1
- 水関連の規制および立法面の強化への意欲が高まっている
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水の処理、管理、テストを担う企業は、投資家にとって有望な機会を提供する可能性がある
投資家は、自然資本の価値および、私たちの未来がグローバルなコミュニティかつ経済として、どれだけ生物多様性の維持と保全にかかっているかをますます認識しています。これを成功裏に進めるには、生物多様性の損失の予防と緩和のための闘いに測定可能な本当のインパクトをもたらす企業を特定することが不可欠です。
生物多様性の保全を追求する中で、地球上の大半の生命体に対する根本的なニーズとしての水の責任ある利用と分配の重要性は言うまでもありません。各国政府や企業が、より持続可能な水利用の推進への圧力に対応していることから、実施規模が近年ますます拡大しています。米国における2021年のインフラ投資法や、水およびインフラ企業への投資支援などの動向により、関連企業は新たな長期成長ポテンシャルから恩恵を受けるのに有利な位置を得るだけでなく、生物多様性に対してポジティブで重要度の高いインパクトを与えることができます。2 この観点は、生態系全体における水の重要性を謳った国連の持続可能な開発目標(SDGs)が裏付けています。淡水は地球上の水資源のわずか3%に過ぎず、飲料水はさらにその一部でしかありません。多岐にわたる用途のために利用可能な水の量を増大させることが、世界的にますます優先問題になっています。3 水は世界で最も過小評価されてきたコモディティのひとつであり、水関連の支援的な規制や政策の動きにより、現在その価値がより高く認識されるプロセスにあると当社は考えます。
3つの前線で取り組む必要
インパクト投資に関するアクサ IM の専門知見とアイスバーグ・データラボとのパートナーシップの組み合わせにより、詳細かつ信頼性の高いメトリックを使用することで、SDGs目標6「安全な水とトイレを世界中に」の目標を推進する上で最高のポテンシャルをもつ企業への注目度を高めることができます。システミックでポジティブ、かつ相乗的なインパクトをもたらすには、水不足の問題を次の3つの前線で取り組む必要があります。水の利用可能性管理、持続可能な水資源へのアクセス供給、そして水質および安全性です。
ザイレム(Xylem)は、飲料用水の供給と利用、および産業規模での廃水処理ソリューションの開発と維持を担う米国の水技術プロバイダーです。その最大の収入源は、廃水を回収、処理、分配するための水インフラから得られます。同社はまた、商業、住宅、工業部門の顧客に水ソリューションやサービスだけでなく、高度な「インテリジェント型」水計器やアナリティクスも提供しています。同社は研究開発へのコミットメントから効率を向上させ、不適切な配水システムや詳しい測定能力の不足から生じる不要な廃水を削減させるための高度な方法を開発しています。人口の増加と共に世界的な水需要が拡大することから、2050年までに60億人近くが淡水不足に悩まされると推定されており、水の損失を最小限に抑えるための需要がさらに強まっています。4 ザイレムの2022年7~9月期業績は良好で、経営陣は年末までの見通しを上方修正した他、新興市場からの潜在的な需要の大きな源泉を抱えており、頼もしい状況です。
水の利用可能性への対応と回避可能な損失の予防に取り組んでいる別の米国企業にエヴォクア・ウォーター・テクノロジーズ(Evoqua)があり、企業向けに水のライフサイクル全体を通した水管理および処理サービスを外注で請け負います。エヴォクアの能力が、飲料用水の品質および、処理済みの水を安全に環境に再度放出または再利用することを含め、多様な目的に向けた水の処理を含むことは非常に重要です。企業が自社の水フットプリントを削減するのに役立つこの能力は(SDGs目標12「つくる責任、つかう責任」と整合して)、企業がますますサステナビリティ志向の株主の圧力にさらされたり、厳しくなる規制の遵守がさらに高価になるにつれ、エヴォクアのサービスの需要を押し上げることになりそうです。5
高度な水衛生は水、衛生、感染症予防製品の世界的リーダー、米エコラボ(Ecolab)の専門事業です。同社は幅広い顧客層や事業部門の恩恵を受けており、収入の大部分が工業部門の大企業にも由来している一方、特化した洗浄製品や殺菌剤を観光、政府、教育、医療、医薬品会社といった多岐にわたる産業に提供しています。他の水企業と同様、水管理サービスへの需要は増大しており、エコラボはその主要な世界的工業用水処理およびサービス事業の拡大と高度化から恩恵を受けると予想されます。6 生物多様性重視の国際機関による企業の監視強化もまた、政府や消費者本位の投資家心理を後押しし、水不足を前にして最適な水管理という複雑な問題への取り組みに貢献している企業を後押ししています。7 さらに、2023年に発効するTNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)などの政策により、企業の水の利用や慣行に対する監視が強化されるにつれ、エコラボのような企業の価値が評価されると当社は見ています。
水の処理および管理に携わる企業は、既存のインフラの品質改善および、ますます貴重になる天然資源の利用の最大化という双方の目的に向けて、一段と効果を上げる方法を開発・導入する能力があります。しかしながら、これらの取り組みの成果は、リスクを特定し、淡水および処理水の品質を監視することで、利用目的に対し適切に汚染物質がないことを確保するための綿密な分析およびテスト能力にかかっています。そこでルクセンブルクに本拠を置くユーロフィン・サイエンティフィック(Eurofins Scientific)の出番となります。同社は54カ国に900カ所の強力なラボ・ネットワークをもち、世界的に事業を展開している分析サービスの大手プロバイダーです。同社のテスト能力は、本質的に人体への直接の影響からの保護となるだけでなく、水の無駄使いや疾患の誘発を避けるべく、他の企業が水を保全する画期的なシステムを開発するための支援となります。ユーロフィンのテスト施設は、水質が公衆衛生当局により定められた厳格な許容限度内にあることを保証するため、水の管理および処理を担う革新的な企業にとってカギとなる要素となります。
(記載の企業は2023年1月9日時点の例示のみを目的としています。)
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