グリーンボンドへの投資
サステナブルボンドシリーズのこのモジュールでは、グリーンボンドを取り上げ、それがポートフォリオでどのように活用できるかを見ていきます。
グリーンボンドは、低炭素経済への移行に焦点を置くプロジェクトに融資するものです。グリーンボンドが対象とするプロジェクトはかなり広域にわたる可能性がありますが、大半がグリーンビルディング、持続可能な生態系、低炭素輸送、スマートエネルギーソリューションという環境テーマのいずれかに属します。
最初のグリーンボンドは2007年に欧州投資銀行により発行されましたが、2015年時点でもまだニッチ(すき間市場)投資と見られていました。気候変動の影響がますます顕著になり、透明性を求める規制上の要件が増大していることから、政府、企業、投資家はグリーンボンドに注目し始めました。グリーンボンドがネットゼロ投資の資金調達に非常に適切な手段と見られていることは、各国政府が依然としてこういったプロジェクトにグリーンボンドを利用している事実が証明しています。すでに20カ国以上がグリーンボンドを発行しており、オーストリアやカナダが2022年に新たに加わりました。
このアセットクラスは、わずか数年の間に急速に拡大し、時価総額は1兆ドルを超えています。発行体は以前は2~3の国際機関および公益事業だったのが、600を超えるまでになり、このうち企業や金融機関が半数以上を占めます。グリーンボンド発行は、新たなセクターの参入と地域の多様化がもたらされており、2022年もこのトレンドは続き、100を超える新規発行体が市場に参入しています。
このアセットクラスの重要な点は透明性および成果主導プロセスであり、これは債券ユニバースにあってはサステナブルボンドに独特の側面です。これは、投資家がプロジェクトの重要業績評価指標(KPI)に関する詳細な報告書にアクセスできるため、プロジェクトのグリーン性を評価し、環境への効果を測定できることを意味します。
低炭素経済への移行に対する資金需要に資本を向ける中で、グリーンボンドが先導的役割を果たしていることは、データ分析でもまた明らかになっています。当社では、グリーンボンドが融資しているプロジェクトの炭素集約度を評価し、これら債券の炭素集約度が発行体の半分以上であることを確認しました。これは、グリーンボンドがその発行体のネットゼロへの道程を支援する上での信頼性を確証していると当社は見ています。
グリーンボンドは、環境へのポジティブな成果を反映する投資を投資家に提供するだけでなく、バランスの取れたリスクプロファイル(金利に対して従来の債券ユニバースと相対的に類似の感応度をもち、国債・準国債と社債が半々となる信用度の高い市場)により、従来の債券ユニバースに代わりえる信頼性の高い資産となる可能性があります。
グリーンボンドは、そのポジティブなインパクトおよび多様化により、投資対象として魅力的なアセットクラスであると当社は考えます。しかしながら、すべてのグリーンボンドが同じではなく、プロジェクトが主要な基準を満たし、発行体のサステナブル戦略を反映している債券のみでポートフォリオが構成されていることを確認することが重要です。アクサ IM では、国際資本市場協会(ICMA)のサステナブルボンドに関する指針を参照し、適格な投資を定義・モニターする当社独自のサステナブルボンドフレームワークを作成しました。この適格基準はサステナブル戦略、プロジェクトのタイプや透明性などの要素を検討するものです。
(オリジナル記事は3月1日に掲載されました。こちらをご覧ください。)
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本シリーズの目的は、サステナブルボンド投資を投資家の皆様に分かりやすく解説することです。
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