ロボテック戦略: 倉庫の自動化の未来をけん引するアマゾンの例

その解決策となる自動化の概念は投資家にとって目新しいものではありませんが、その成長の可能性と拡張性の高さにより、効率性や精度、安全性のさらなる向上が期待されています。これらの利点は、産業界が人件費の上昇、熟練労働者の減少、機械の老朽化など、前述の数々の課題に対応する能力を強化することにもつながる可能性があります。自動化の活用例として、米大手IT企業アマゾンの実例を見てみましょう。

アマゾンは、倉庫の自動化の未来を推進するために、多大な経営資源を投入し物流ロボットの開発を継続してきました。同社が2023年に導入した２つの新型ロボット「Sequoia（セコイア）」と「Digit（ディジット）」は、自動化が大規模なeコマース･ソリューションの作業員と顧客の両方にメリットをもたらすことを示す一例として話題になりました。¹  一つ目のセコイアは、米・テキサス州の倉庫で試験的に導入されたもので、作業員向けの多機能補助具として在庫管理や注文処理を合理化し、配送をスピードアップさせることができます。また、人間工学に基づいた制御盤とロボットアームにより、手作業による怪我のリスクを軽減します。アマゾンは、この革新的な自動化ソリューションにより、フルフィルメント・センター（在庫管理/受注/配送等の一連のプロセスを行う物流拠点）での在庫の識別と保管が従来よりも最大で75%高速化されると期待しています。²

一方、「ディジット」は、Agility Robotics社と提携して開発された先駆的な二足歩行ロボットです。その幅広い動作範囲と物理的なハンドリング能力は、フルフィルメント自動化機器の機能と器用さを拡張するように設計されており、人間向けに設計された倉庫スペース内をよりスムーズに動き回り、より複雑な動作と把持技術を必要とする業務に対応できるようになります。こうした開発は、反復的な手作業によるハンドリング操作がより広範囲に自動化へ引き継がれる可能性を示しており、倉庫作業員をより複雑な業務へと「解放」することができます。³   アマゾンがロボット分野に初めて参入したのは2012年にKiva Systemsとその無人搬送車（AGV）群を買収した時でした。その頃から10年以上を経て、アマゾンは今ではロボットソリューションを大規模に採用してきた実績を持つに至って、すでに約75万台が稼働しています。これはアマゾンが毎日何百万もの商品を翌日配達オプションで配達することができる世界最大のeコマース企業である主な理由の1つであります。同社の研究開発への継続的な取り組みは、労働に関する解決策や効率性を提供するだけでなく、ロボテック分野における新しい役割や産業を生み出すことも見込まれています。

倉庫自動化の進展は、ロボテック投資戦略のユニバースに含まれる企業が機敏性と技術の両方を備えており、分野横断的に現代のグローバルな産業と商業に新しい機会とソリューションを提供していることを示す一例にすぎません。

企業への参照は例証のみを目的としており、個別銘柄への投資を推奨するものではありません。

過去の実績は将来の成果を保証するものではありません。

（オリジナル記事は8月21日に掲載されました。こちらをご覧ください。）