エンゲージメントおよび議決権行使の実践:メタの場合
スチュワードシップとエンゲージメントというと、伝統的市場や産業の関連企業がそのビジネスモデルを現代社会のニーズに適応させることをすぐに思い浮かべる人が多いでしょう。
しかし、スチュワードシップは、成長市場においても同様に重要です。消費者向けテクノロジー関連のような、変化の激しい業界におけるベストプラクティスの形成や定義づけを支援するものです。このようなビジネスは変化のスピードが速いため、プライバシーや人権に関連する多くの問題に対してレベルの高いエンゲージメントが必要です。
データマイニングとその収益化は、過去10年間におけるテクノロジー企業の急成長を後押ししてきました。これは、ユーザーや規制当局から厳しい監視下に置かれているテクノロジー・プラットフォームの中核的なビジネスモデルとなっています1 。
アクサIMでは、データプライバシーに関する責任ある取り組みを奨励し、2021年のスウェーデン国民年金基金倫理委員会による「テクノロジー大企業および人権に関する投資家の期待に関する共同イニシアチブ」などの株主イニシアチブを積極的に支援する活動を幅広く行っています。
なお、当社のメタ・プラットフォームズ(旧フェイスブック)に対するエンゲージメント活動は、主にデータプライバシーを巡る同社の継続的な問題に関連するものであり、イノベーションを推進し、新たなビジネスを設定し事業を拡大している同社の投資適格性に関するアクサIMの見解を示すものではありません。
メタに対するエンゲージメントおよび議決権行使の詳細については、下のリンクからケーススタディに関するレポート(英文、PDF)をご覧ください。
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当社のアプローチ
当社は2019年、個人情報保護と人権の問題について、メタ・プラットフォームズとのエンゲージメントを開始しました。メタは、ユーザーの個人データ収集に収益が大きく依存する巨大IT企業であり、当社のエンゲージメント・フォーカスリストに含まれていました。当社の主な目的は、メタが個人情報保護と人権問題に対する取締役会の監視を強化するとともに、これらのリスクに関する透明性と報告の質を高め、これらの問題に関して繰り返し起こる論争に対処するための具体的な措置を講じることでした。
それ以来、当社は少なくとも年に1回は同社とミーティングを持ち、インベスター・リレーションズ、コーポレート・セクレタリー、業務部門のスペシャリストなどさまざまな部門の代表者と話し合う機会を得ました。また、メタに対して同様のメッセージを発信する共同投資家イニシアチブにも参加しました。
当社のエンゲージメントの目的の幾つかは達成されました。例えば、メタは取締役会レベルで個人情報委員会を設置し、2020年には監督委員会を設置しました。これらは、当社がリサーチを通じて特定したリスクと当社のエンゲージメント目標に対応した前向きな対策でした。
このような進展があったにもかかわらず、2021年に同社は再びコンテンツや個人情報保護に関する論争、いわゆる「フェイスブックファイル」にさらされることになりました2 。このことは、メタに個人情報保護の監督に関する構造的な問題があることを示唆していると当社は考えています。
同社は、コンテンツモデレーション(投稿監視)と人権問題についての立場を明確にするために、電話会議を開催し成功を収めた点を強調しました。確かに、当社がメタに対するエンゲージメントを開始して以降、同社がこれらの問題に関する方針と透明性の改善に多大な努力を払ってきたことは認めます。しかし、当社が対処を望んだ最も重要な問題が未回答のままになっていると考えています。すなわち、メタが長期にわたり直面してきた個人情報保護、コンテンツ、ユーザーの安全性に関する問題の再発に対応するため、どのような具体的措置を講じようとしているのかが全く不明なのです。
2022年の議決権行使については、メタが次に講じる措置を見た上で方針を決定する予定です。また、個別エンゲージメントおよび集団的エンゲージメントを継続し、個人情報保護、人権、コンテンツモデレーションの問題に対する監督および管理の改善を求め続けていきます。
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