ロボテック戦略月次レター:厳しい市場局面の先を見据える
ロボテック戦略月次レター(2022年4月の振り返り)
厳しい市場局面の先を見据える
半導体セクターは、堅調な収益動向にもかかわらず株価下落によりバリュエーションが大幅に縮小し、魅力的な株価水準に
4月のグローバル株式市場(MSCI ACWI、米ドルベース)は大幅下落となり、年初からの厳しい投資環境が続きました。グローバル株式市場では、当戦略の投資対象ではないエネルギー、素材、公益、不動産などのセクターがパフォーマンス上位となり、当戦略は市場全体を下回るパフォーマンスとなりました。当月は、為替市場で米ドルに対して円安が進行したことがプラス寄与となったものの、主として米国や欧州など保有銘柄の株価が全般的に下落したことがマイナス寄与となり基準価額は下落しました。
これまでの利上げ局面では良好なパフォーマンスを維持
ウクライナ紛争が長期化する中、引き続き地政学リスクとエネルギー価格高騰が市場センチメントに影響を及ぼしました。エネルギー価格高騰により可処分所得が減り、個人消費の低迷とともに景気が減速する懸念が次第に強まっています。米連邦制度準備理事会(FRB)は、コロナ禍で大幅に引き下げた政策金利の正常化プロセスに着手し、5月初めに通常の2倍の幅である0.5%の利上げに踏み切りました。市場参加者は、景気減速の兆しが見える中、今後の利上げペースの加速に神経質になっています。
当戦略は過去10年間に数度の利上げ局面に直面してきましたが、利上げの当初の段階ではボラティリティが高まりますが、最終的にはその都度良好なパフォーマンスを上げてきました。また、株価下落によりバリュエーションが魅力的になってきています。特に、半導体セクター全般としては、堅調な収益と株価下落により株価の割高度合いが大幅に修正され、魅力的な株価水準になったと見ています。
4月から1-3月期の決算発表が続いていますが、これまでのところ組入銘柄の企業業績は概ね良好です。企業の多くは引き続きサプライチェーン問題や部品不足に加え、原材料コストの高騰についても言及しており、中には収益が圧迫されていると報告する企業もありました。
賃金インフレは自動化需要を拡大
長期化するウクライナ紛争の影響でエネルギーや原料価格が高騰し、インフレ圧力は年央に近づくも上昇を続けています。製造業の企業にとって厳しい環境となっており、これらのコスト上昇分を自社で吸収するか、製品価格に転嫁するか、あるいはその両方の組み合わせとする必要性に迫られています。さらに紛争の影響はサプライチェーン問題にも影を落としています。エネルギー価格の高騰は、消費者の支出意欲に影響を与えるリスクがあり、消費者の節約志向を高め、消費が抑えられる可能性があります。
インフレ圧力やサプライチェーン問題は引き続き企業経営に重くのしかかっており、また一部の国や地域における労働力不足も賃金上昇圧力となると予想しています。このような状況は、労働力不足や賃金上昇を解決する一手として自動化を導入する機会を提供しており、この問題が続く限り自動化需要を高める原動力となると見ています。
ポートフォリオの動向
当月は、個人消費減速が懸念されたことから、ネット通販大手アマゾン・ドット・コムや食品通販向け自動化ソリューションを手掛けるオカド・グループなど消費者向けサービスを展開している組入銘柄がマイナス寄与となりました。また、昨年非常に好調なパフォーマンスを記録した半導体関連銘柄も軟調なパフォーマンスとなりました。自動車および産業向け半導体のオン・セミコンダクター、スマートフォン向け半導体のクアルコム、IoT向け半導体のシリコン・ラボラトリーズなどの半導体企業は、4月下旬から5月初めにかけて発表された決算で、いずれも良好な業績と見通しを示しましたが、テキサス・インスツルメンツは中国の大都市におけるロックダウン(外出制限)の影響による不透明感から慎重な業績見通しとなりました。
日本の自動化関連銘柄もマイナス寄与となりましたが、業績については強弱入り混じる内容となりました。産業用ロボット最大手のファナックは受注好調ながらも、部品不足とコスト増によって増益率は縮小しました。なお、EV関連工場向けのロボット販売は伸びています。センサーや工場自動化機器を手掛けるキーエンスは、健全な需要を背景に過去最高益を記録しました。特に、米中向けの工場自動化関連センサーの販売が拡大しています。
株式市場の厳しい局面が続いていますが、当戦略の実績が示す通り、負債が少なく強靭な体力を有する企業は、全般的な低成長環境になったとしても力強い成長を継続し、それが今後の株価に反映されると考えています。
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