ロボテック戦略月次レター:ヘルスケア分野が健闘
ロボテック戦略月次レター(2022年2月の振り返り)
ヘルスケア分野が健闘
手術支援ロボット関連が堅調、なおロシアのウクライナ侵攻で市場のセンチメントは悪化
2月の世界株式市場(MSCI ACWI、米ドルベース)は、ロシアのウクライナ軍事侵攻により地政学リスクが月末にかけて市場センチメントに大きくのしかかり、1月に続いて下落しました。当月のロボテック戦略は、主として米国の保有銘柄の株価上昇がプラス寄与となり、基準価額は上昇しました。全般的な株価下落の中、ヘルスケアセクターの一部がプラス寄与しました。
国際社会はウクライナ侵攻に対して、ロシアおよび関連企業への大規模な経済制裁で対抗しました。本稿執筆時点においては、極めて不透明な状況が続いています。ロシアは欧州にとって最大の天然ガス供給国であり、ウクライナはガスパイプラインの重要なルートであることからエネルギー価格が急騰し、新たなインフレ懸念が生じています。そして、インフレ高進や金利上昇により、経済成長の減速が市場では懸念されています。このため投資家の間では、市場の不透明感によって米連邦準備制度理事会(FRB)が2022年に実施すると見られる利上げの頻度が、経済への影響を緩和するためより緩やかになるとの見方もあります。
地政学リスクによってもたらされた不透明感から、市場においてボラティリティが上昇し、利益確定の動きが生じることは驚くにあたりません。当戦略ではロシアやウクライナへの直接的なエクスポージャーはありません。また、同地域における売上高が相当な比率を占める組入銘柄もありません。運用チームでは状況を注視し、投資するセクターや企業のファンダメンタルズが引き続き堅固なものであれば、株価の下落を利用して投資するいい機会になると考えています。
また、ロシアへの経済制裁に伴い世界的なサプライチェーンの混乱が生じていますが、今後改善していくとみられます。
EV関連では異業種提携などの加速で自動化関連設備投資も拡大へ
電気自動車(EV)関連ではこのほど、ソニーグループとホンダがEV事業提携を発表しました。年内に共同出資会社を設立し、ソニーのセンサー、通信、エンターテインメント技術とホンダの量産技術を活かしたEVを2025年に発売する予定です。また、米フォード・モーターは3月初旬、EV事業をガソリン車事業から分離し、独立採算制にすると発表しました。ガソリン車部門のレガシー処理にとらわれずに、投資をEVに集中して成長を加速する意向です。異業種の提携や老舗自動車メーカーのEV志向の加速が、EVの世界的な普及をさらに後押しすることとなり、関連して高度なロボットや自動化への設備投資が一層拡大するとみられます。
ポートフォリオの動向
当月はヘルスケア関連銘柄が堅調なパフォーマンスとなりプラス寄与となりました。中でも手術支援ロボットを手掛ける企業が好調でした。尿失禁治療に用いられる仙骨神経刺激装置を開発する米国のアクソニクスは、コロナ禍による医療の逼迫が一段落したことから手術件数が回復し良好な業績を示しました。このような傾向はコンメド(手術用ロボットの部品サプライヤー)やグローバス・メディカル(脊椎手術用ロボット)などの組入銘柄でも同様に見れらます。
一方、一部の半導体関連銘柄は昨年後半の堅調なパフォーマンスを受けて利益確定の売りが続いており、マイナス寄与となりました。これらの銘柄は1月および2月に行われた決算発表で、人工知能(AI)や高性能コンピューティングへのニーズの高まり、自動車の製造原価に占める半導体の比率増加など長期的な成長トレンドが持続していることを追い風に好調な業績を示しました。
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